首位広島が今季3度目の3連勝を飾り、2位DeNAとのゲーム差を2・5に広げた。同点の9回、ブラッド・エルドレッド内野手(37)が代打決勝アーチで決めた。OBの衣笠祥雄氏(享年71)が23日に死去してから最初のカードに3連勝。横浜での同一カード3連戦3連勝は、12年7月以来6年ぶりだ。偉大な鉄人にまた白星を届けた。

 高々と舞い上がった打球が、ハマスタのバックスクリーンにぶち当たった。エルドレッドが9回、値千金の4号決勝ソロ。16年5月以来の代打アーチで勝利を引き寄せた。「1回の3点を追いつかれてタフな試合だった。いいところで本塁打が打てた。高く上がりすぎたが、芯を食ったので、しっかりと入ってくれた」。開幕から8戦8セーブと完璧救援を続ける山崎を撃沈。ジム・ライトルが持つ球団外国人最多本塁打155本まで残り23本に迫った。

 OBの衣笠祥雄氏が亡くなってから最初のカードに3連勝。エルドレッドも「鉄人」の存在を当然のように認識していた。「もちろん球場で何度もお見かけした。カープの素晴らしい選手と知っている。昔のビデオを見ると、衣笠さんが必ず出てくるからね。亡くなられたことをしのんでいる」。球団史に明るい助っ人は、背番号3が永久欠番であることも知っていた。

 来日7年目。日系人を除けばライトルを抜いて、球団史上最長の在籍となった。広島での時間は人生の多くを占める。開幕前には、助っ人では異例とも言える自身の著書が発売された。「日本に長くいられて、愛されることでこういう機会を得られた。(出版が)珍しいことだとも知っているし、感謝しているよ」。この日のヒーローインタビューでは、質問に通訳を介さずに答えた。「全部、聞き取れているよ」。そう言ってニヤリと笑った。

 22日の中日戦以来の出場。今カード最初の打席、最初のスイングで試合を決めた。開幕5戦で3本塁打もその後は不振続き。2軍降格もありえる状況だった。だが、信頼を寄せる緒方監督が1軍に置き続けた。その指揮官は「こういう接戦をものにできたのは大きい。カントリー(エルドレッドの愛称)が持ち前の長打で決めてくれた」とたたえた。偉大な先人も、天国で笑顔に違いない。迎える黄金週間で、首位の座を揺るぎないものにする。【大池和幸】