苦手に打ち勝つ逆転打だった。ロッテ藤岡裕大内野手(24)は1点を追う6回2死一、二塁。日本ハム西村の内角直球を体の回転で振り抜いた。打球が右翼ポール際へ抜ける間に三塁到達。走者一掃の逆転2点打で5連勝中だった難敵を止めた。「調子はだいぶ上がってきた。インコースを克服できてるのかな」と手応えをにじませる。

 スランプだった。ドラフト2位で入団し開幕から不動の2番も、徹底した内角攻めにつまずいた。打率は1割台まで落ち込み、前週の楽天戦で9番に。「(降格の)悔しさより、ほっとした。どんどんいっても良い打順」。井口監督が与えてくれたリフレッシュ期間。何とかしたかった。

 もがき、考え、2つの変化を取り入れた。バットを指2本分短く持つこと。それと打席の立ち位置。もともと、左腕には変化球の曲がりっぱなを打つため投手寄りに立っていた。右投手には逆を利用することにした。「少しでもボールを長く見られるように。捕手寄り、後ろに立つようにしました」。あとはただ強く振る。強ければ打球は飛ぶ。

 今カードから2番に戻り、2試合連続マルチと復調している。本拠地の打率も好調で、お立ち台にも慣れてきた。先は長いプロ人生。山も谷も待ち受ける。井口監督は「この山をまず乗り越えてくれて良かった。(好不調の)波はたくさんある。自分でしっかり戻していかないと」。新人遊撃手の1つの確かな成長に、うなずいた。【鎌田良美】