ソフトバンク内川聖一内野手(35)が、史上51人目の通算2000安打を達成した。会見での一問一答は以下の通り。

 -記録を達成してどんなことを感じているか。

 内川 えー。打ててホッとしたのと、全身の力が抜けました。はい。ホッとしました。

 -2000安打の選手に肩を並べた実感は。

 内川 名球会に入る資格を得たというだけで、決して肩を並べたとは思っていない、ここで終わりとは思っていないですし、これから先まだまだ頑張りたいと思います。ぼくから見ると、憧れの先輩方ばかりなので、肩を並べることは一生ないと思います。

 -どんな気持ちで打席へ。

 内川 明日(9日)が移動日で休みの予定でしたので、今日打たなかったら1日もんもんとして過ごさないといけないなと思っていた部分と、千葉の時点で残り2本になってから、今日見られるんじゃないかとスタンドに足を運んでくれたファンの方もたくさんいたと思いますし、地元福岡でも3試合あったので、そこでなんとかという気持ちでやったんですけど、そこでうまくいかなかったので。なんとか早くファンのみなさんに2000本目をお見せしたい気持ちと、あとはやっぱり監督コーチをはじめ、チームメートが残り1本になってから、ずっとベンチで立って応援してくれてましたので。結果的に14打席、立ったり座ったりさせてしまいましたけど、早く打っていつも通り応援してほしいなと言う気持ちでした。

 -一塁上でどんな気持ち。

 内川 選手の1人としてチームに迷惑をかけるというのが一番苦しいことでしたので、4番という打順も打たせてもらっているし、2000本に対して打てないというよりも、チームにいい流れを作れないところが苦しかった部分もありましたので。ランナー一塁の場面でチャンスを広げられたという喜びと、2000本にたどり着いた、ホッとした気持ちと両方ありましたね。

 -家族の前で達成。

 内川 早く達成しないと、父の仕事にも影響が出るなと思っていましたし、弟も千葉からずっと来てくれていた。幸いにも、ぼくの記録をまず見てから、仕事よりもこちらを優先してこいと、弟も言ってもらえたと聞いていたので。本当に、早く達成しないといろんな人に迷惑かけるなと思っていた。一大イベントが終わったような、そんな感覚です。

 -父への思いは。

 内川 ぼくの野球を一番長く見てくれているのは父だと思いますし、高校時代も父の教えの元でやっていた。父の教え子としてプロになれたこともうれしかったですけど、2000本という区切りのヒットを生で見てもらえたというのは、やっと親孝行できたかなと思います。どちらかというと心配しかしてなかったと思います。プロ野球選手として、いろんなタイトルも取らせてもらいましたけど、最高の親孝行になったんじゃないかなと思います。

 -注目される中でのプレーについて。

 内川 自分が自分じゃないような感覚でした。今まで、正直気を抜いてたところが、カメラを向けられていることを意識して、気を抜けないところもあった。最近で言うと、清宮くんとかは常にこういう環境の中で普通どおりにやっているというのはすごいなと。今日ホームランを打ったというのも聞きましたけど、こういう状況の中で、高校卒業して1年目で結果を出すというのはすごいなと思いますし、尊敬しかないです。うらやましい。

 -この経験は今後に生きる。

 内川 目の前で起こっていることに対して、ただ過ごすだけではいけない。2000本目を打つまでに結果が出なかったことや、なんとかチームやファンのために打ちたいと思ってやってきた気持ちは自分の中で大事にしてやっていきたい。現状、トータル的な数字は満足できるものではない。これを自分の中でいい勢いに変えて、チームに貢献できるような選手になりたい。

 -打席で大切にしてきたことは。

 内川 基本的には全打席ヒットを打ちたいと思うことだと思います。プロ野球はトータルで3割打てばいいバッターという評価ですけど、どんな状況でも1打席には変わりない。その1打席、1打席を大事にするということと、全打席ヒットを打つんだという気持ちの中でやってみて、トータルでどれだけ打つのかというのは常に意識してやってきました。

 -最も印象に残っているヒットは。

 内川 ヒットを打った喜びというのは1本目から2000本目まで、基本的には全部うれしいんですけど、やっぱりプロ1本目のヒットと今日の2000本目のヒットは一生忘れられないヒットになると思います。年数を重ねると、若い頃は良かったなと。いろんな知識が入ってきたり、経験が増えると打席に立つのが怖くなった時期もありましたし。2000本を打つまでは、早く打ちたいという気持ちと同時に、打たなかったことに対する周りの反応に自分の心が揺さぶられた時期があった。ファンのみなさんをがっかりさせないように、期待に応えられる選手になりたいというのは、あらためて思いました。

 -18年間どんな野球人生か。

 内川 記録を達成した方は野球を裏切らずにやってきたとよく聞くんですけど、正直、ぼくは何回も裏切りましたし。もうやってやれるかと何回も思いましたし、もうやめるって何回も思いましたし。でも、そういうときに限って、野球をやめさせてくれない出来事みたいなことが常にあった。野球がぼくを離してくれなかったなとは思います。

 -これからどんなプレーを。

 内川 結果で喜んでもらえるのが一番喜ばしいことだとは思うんですけど、結果が出なくても、ぼくが打席に立ったら期待してもらえるような選手でい続けたい。一見、ぱっと見、とてつもなくすごいものを持ってるわけではないと思うし、チームの4番としてずっとやらせてもらっているので、チームの勝ちにちょっとずつでも貢献できるような選手であり続けたい。

 -今後は違う気持ちで臨める。

 内川 本当に正直なことを言わせてもらうと、2000本目を打つまでの注目度みたいなものに、すごく嫌な感じだったので。自分の気持ちの中では、これだけ注目される中で野球ができることのありがたみみたいなものはわかっているつもりでしたし、こんな幸せなことはないな、と思っていたんですけど。でも心の中でほんの少しだけ、あーまたこんなにカメラ向けられてやらなきゃいけないのか、と思う自分がいたので。それがちょっとやわらぐかと思うと、ホッとする部分と、なくなるとちょっとさみしくなるんじゃないかなと思う自分と両方いますので。今度は試合の中でいい結果を出して、みなさんにカメラ向けてもらえるように頑張りたいなと思います。