みちのく大学野球新入生企画の後編は、北東北の1部6チーム188人を特集する。11年秋以来の優勝を狙う青森大に、頼もしい1年生4番が現れた。昨夏甲子園4強の天理(奈良)からやってきた安原健人内野手は開幕カードでいきなりランニング満塁弾を放ち、衝撃デビューを果たした。【取材・構成=高橋洋平】

 名刺代わりの一撃だった。昨夏の甲子園で天理を4強に導いた安原の打力は、本物だった。4月22日の青森中央学院大戦。6回2死満塁、初球の外角直球を逆らわずに逆方向のライトへ強く振り抜いた。相手右翼手が後ろにそらす間、一気に激走してホームを陥れた。豪快な打撃の裏に、投手心理を巧みに見抜くクレバーさも持ち合わせていた。

 安原 前の打者を四球で歩かせた段階で、初球を狙おうと決めていた。必ず初球にストライクを取りにくるはず。読み通りです、キターって感じ。

 大抜てきに応えた。三浦忠吉監督(36)は3月の練習合流から、強気に初球から振っていける安原を全試合に4番に固定している。「相手は変則の右下手投げ。1球様子を見たいところだけど、よく振った。思い切りが良くて、先輩たちにも良い影響を与えてくれている」。元4番の蝦名達夫内野手(3年=青森商)が3番に座り、強力デュオを形成。現在、青森大は5勝1敗と自力で優勝を狙える位置につけている。

 開幕5試合連続安打をマークした安原は打率3割2分、7打点と十二分に4番の役割を果たしている。「1年生なんだから、伸び伸びやれと、先輩たちから言われている。がむしゃらにやるだけ」。昨夏の甲子園では打率4割で2本塁打と気を吐いたが、プロ志望届の提出は見送った。「今まで努力してきた自信がある。4年後のプロ入りを目指す」。青森大での4年間でさらに力を付けて、夢を実現させてみせる。

 ◆安原健人(やすはら・けんと)1999年(平11)5月9日、兵庫・西宮市生まれ、大阪・富田林市育ち。喜志西小4から野球を始め、喜志中では富田林ボーイズに所属。天理では1年秋からベンチ入り。高校通算20本塁打。183センチ、85キロ。右投げ右打ち。家族は両親、妹。