阪神ランディ・メッセンジャー投手(36)がチームも自身も苦しい中で、7勝目をもぎ取った。

 「本当に苦しい投球になってしまった。ブルペンでは調子が良かったけど、本当に違う投球になってしまった」

 試合後は思わず苦笑いを浮かべた。5点の援護を受けた直後の4回には、四球の後、3連打を浴び、フラフラになりながらも3失点でとどまった。金本監督は「どうにかこうにか、あのイニング、土俵際で踏ん張ったなと。一気に大崩れしないのが信頼であり、エースですから」と評した。6回までに要した球数は今季最多の131球。それでも冷静に打者1人1人とにらみ合い、6回7安打3失点。先発の仕事を果たした。

 9戦目でハーラー単独トップの7勝目。来日してから最速の7勝到達で、数字上ではシーズン25勝に到達する超速ペースだ。開幕前にあと16勝に迫っていた、ジーン・バッキー氏(80)の虎助っ人最多100勝を優に超える量産ぶりだ。

 メッセンジャーにとって目標の偉人だ。1月の来日時も「可能性があるものはすべて超えられるように頑張りたい」と意気込んでいた。来日8年間では、14年の13勝が最高だ。今季での100勝到達は難しいと思われたが、いまや現実味を帯びる。普段から、バッキー氏と1週間に1度会話をする。ラーメンやクッキーなどがつまった大きな箱も届けるという。「100勝といわず、今シーズン中にぜひ101勝に到達してほしい」。バッキー氏も記録超えを心から応援している。

 これでメッセンジャーは地方球場で通算8戦で負けなしの7勝。先週に続いて5月2度目の連敗ストッパーとなった。「連敗ストップだけじゃなくて、連勝に続いていかないといけない」と気合十分。倉敷の地で「地方の鬼」がチームの危機を救った。【磯綾乃】

 ▼メッセンジャーがチーム40試合目、自身の登板9試合目にして早くも7勝目を挙げた。いずれも10年の来日以来最速だ。仮に登板間隔、白星とも現状のペースを維持すると、実に年間25勝の計算になる。現在NPB通算91勝。残り9勝となった100勝も、楽々達成できるペースだ。なおシーズン24勝を挙げた13年田中将大(楽天)の7勝目は、今季のメッセンジャーと同じ5月22日(巨人戦)。チーム42試合目で、メッセンジャーは田中の上をいっている。