勝負事は戦略通りに行動しても、相手があることで、必ず勝つとは限らない。楽天が5安打完封負けでカード3連敗し、借金が今季最多の19となった。

 前日の則本に続き、先発の美馬学が1球に泣いた。0-0で迎えた7回裏2死一、三塁。8番西川の初球に137キロのカットボールを選択した。理由は「その前にファウル、凡打だったので、いいイメージを持って」。

 投げたのは高めで、見逃せば完全にボール球だった。「高め要求だった。ちょっと中に入ったけど、意図してない球ではなかった」。ほぼ思った通りに制球できたが、打球は右翼フェンスを越えた。知力と体力を出し切っての結果だけに、試合後の表情はさばさばしていた。時の運だけが足りなかった。

 1発は浴びたが、6回まで被安打4、無四死球だった美馬は責められまい。3タテを食らった主たる原因は、3試合でスクイズによる1点しか挙げられなかった打線にある。梨田監督は「素晴らしい投球だった。縦のカーブが性能がよくて、(今季の美馬の登板で)一番いい時に点を取ってやれなくて申し訳ない」とねぎらった。そして「(3試合で)1点しか取れなかった。ひどい状態。走者を出しても1本が出ないし、チャンスで打てない」と貧打線を嘆いた。

 平石ヘッド兼打撃コーチは「狙い球に消極的になっている。何とかしたい、という気持ちが焦りに変わっている」と、好機に打てない打線を分析していた。