首位独走の広島は阪神に敗れ、連勝が4で止まった。リーグ最速50勝を前に足踏みも、サビエル・バティスタ外野手(26)が推定飛距離130メートルの豪快な15号ソロを放った。左翼のレギュラー格だった野間が21日に故障してからは、これで3試合連続スタメン出場。うち2試合で本塁打と自慢のパワーを示し、定位置奪取をアピールした。

 手ごたえ十分の打球だった。6回無死走者なし。バティスタは右腕才木の初球を狙っていた。高め141キロをフルスイング。甲子園の虎党の悲鳴とともに、打球は左中間最深部へ消えた。一塁を回ったドミニカンはニッコリ。自画自賛した2試合ぶりの1発だった。

 「初球の真っすぐを狙っていた。完璧に捉えることができた。感触も良かったから、打った瞬間入ると思った。甲子園で初めてホームランが打てて良かった」

 4回の第2打席は同じ高め直球を打ち損じ、左翼フェンス際でフライが失速。「ミスして上がり過ぎたから、次はライナーを狙った」ときっちり修正した。投手陣では同じドミニカ共和国出身のフランスアがこのところ台頭。カープアカデミー出身の“先輩”が負けじと存在感を示した。

 球宴までの前半戦で13発。昨季11本だった自己最多を早くも更新したが、個人的な目標はもっと先にある。「あと20本はホームランを打ちたい。去年より打撃はいい感じ。もっと試合に出る必要がある」と鼻息を荒くする。左翼のポジションを争う野間の不在は、バティスタにとってはチャンス。「野間がいないから、チームを助けるためにもっと打ちたい」と誓った。

 日本列島が酷暑に包まれているが、へっちゃらとばかりに語る。「暑いのは好き。ドミニカみたいな気候だからね」。食欲も衰え知らずで、夏場も体重は落ちない。「やせたいけど、焼き肉とかいっぱい食べるから無理」と立派な腹回りをさすって笑った。

 そんな助っ人のアーチで2点差に迫ったが、反撃も及ばず。初対戦の才木に白星を献上した。それでも2位との大差は変わらない。緒方監督も「こっちも反撃してチャンスはつくったし」と、打線にはいたって前向き。大型連敗さえ回避できれば、おのずと頂点が見えてくる。【大池和幸】