巨人の「育成の星」メルセデスが新記録を作っても勝てなかった。122球の熱投でヤクルトを8回3安打無失点に抑えた。3戦にわたるデビューからの20イニング連続無失点は、50年以降の球団では83年槙原の17回2/3を抜いて最長。だがスミイチで逃げ切りを図った救援陣が打たれ、6連敗を喫した。「努力してきたことは出せた。でも野球なので起こりうること」。歴史に名を刻んでも、喜べなかった。

 全身全霊で苦境脱出に挑んだ。走者なしでも「相手打者が打ちづらくなるための手段の1つ」とクイック、2段モーションを交えた。特に2段モーションでは右足をゆっくり上げ、軸足のバランスを崩しているようにも見えるフォームで緩急をつけた。5回の打席はバットを極端に短く持ち、食らいついてバント成功。7回の打席では平凡な遊ゴロで全力疾走した。姿勢でチームを鼓舞した。

 初回2死満塁をしのぎ、2回から7回まで無安打投球。ここ5戦、先発が5回以内に降板と苦しい状況でも、7月の月間MVP候補に選出された力を見せた。だが、報われなかった。「自分はやってきたことを変えずに続けていくだけ」。淡々と振り返り、前だけを見据えた。【桑原幹久】