阪神の連勝は3でストップし、4位に転落した。相性抜群のDeNA戦での完敗は痛いが、悲観することはない。4番糸井嘉男外野手(37)、3番福留孝介外野手(41)がアベック弾で虎党を沸かせた。明日14日からの首位広島戦(京セラドーム大阪)、その後も続くCS争いに向け、ベテランの好調ぶりが頼もしい。

 大敗のなかで、アベック弾が輝いた。糸井と福留が、昨季8月23日ヤクルト戦以来、通算3度目のアーチ競演。チームは敗れて4連勝を逃し、4位に転落も、ベテランは元気いっぱいだ。

 読みと技、執念が光った。先取点を奪ったのは4番糸井の1発だった。1回2死から福留が内野安打で出塁。「孝介さんが走って出塁してくれた。つなぐ意識で入った」。1ストライクからの2球目。144キロをとらえた。右翼へ14号2ラン。本塁打を打てば負けない“不敗神話”は引き分けを挟んだ8連勝で止まったが、体は万全でなくてもバットが止まる気配はない。

 主将の福留は諦めない。先発馬場が打ち込まれ、2点を追う4回。初球はセーフティーバントの構えで揺さぶった。カウント1-1から、3球続いたスライダーをとらえた。右翼スタンド上段に運ぶ1発に「状態としては甘い球を1球で仕留められている」。8回にも安打を放ちチーム唯一の3安打。それでも自身の結果ではなく「(諦めない)姿勢は見せているけど、それだけじゃなくて。やっぱり勝ちにこだわらないと」とチームを見渡した。

 8月の月間打率は糸井が4割6分2厘で、福留は4割8分をマーク。福留は今季の通算打率も2割9分2厘まで上げ、過去4人(5度)しかいない41歳以上で打率3割を視界にとらえた。金本監督も「いい具合に休養を作ってあげれば必ず数字を残してくれる選手なんでね。こっちは休ませ時が難しいけどね」。明日14日からは首位広島との3連戦が待つ。指揮官と糸井が「頑張ります」と意気込めば、福留も「出来ることを1つずつでもやるしかないでしょう」とうなずいた。暑い夏こそ、ベテランの存在が光る。【池本泰尚】