広島がDeNAに打ち勝ち、2連勝で優勝マジックを2つ減らして「28」とした。

 1回に4得点の強烈パンチ。丸佳浩外野手(29)が、苦手の今永から決勝弾となる先制の27号2ランを放った。本塁打王争いでトップを走るヤクルト・バレンティンを追走。球団の日本人では05年新井貴浩、前田智徳以来となるシーズン30発も視界に入った。

 まるで長距離打者のような弾道だった。1回1死二塁。丸は見逃せばボールかという高め直球を、バックスクリーン右まで届けた。最後は左手を離しながら、ボールをつぶすような豪快なスイングだった。

 「しっかり上からたたくことができた。あの打席に関しては高い球をつぶす感じでいけた。感触は悪くなかった。風に乗ってくれましたね」

 左対左を苦にしない丸だが、プロ3年目の左腕今永は大の苦手にしていた。過去2年間は34打数2安打の打率0割5分9厘。特に昨年は19打数無安打と完璧に封じられた。今季も対戦2試合で、5打数1安打に抑えられていた。そんな相手から強烈な先制パンチ。「数字は知っているが、何も問題ない。相手がどの投手でも変わらない」と涼しげに振り返った。

 着実にアーチを重ねている。6月と7月とも月間8発。8月もこれで6発目だ。この日30号のバレンティンを追走するように、3本差をキープした。球団の日本人では13年ぶりとなる30発も完全に視界に入った。「それ(本数)は終わってから考えること。チームの勝ちにつながればいい。勘違いしないようにしたい」。本塁打バッターではないという自覚はいつも頭にある。

 プロ初の1番に入った西川が1回に二塁打で勢いをつけた。7番に下がって2試合目の田中も2安打3打点。そして不動の3番・丸は4回にも右前に適時打を放ち、こちらも2安打3打点の活躍だった。「初回と言わず、どの回でもしっかり得点したい。この試合の点の取り方は良かったと思う」と納得顔。昨季リーグMVPの打撃は、すごみを増すばかりだ。【大池和幸】