こんな敗戦、信じたくない…。虎が長期ロード明けの甲子園初カードで、3連戦3連敗を喫した。ヤクルトに先手を奪われると、5回には同点かと思われたシーンで、まさかの併殺を食らった。金本監督も「俺も見たことないしな、あんなプレー」。今季5度目の甲子園3連戦3連敗。借金は今季ワーストの9と膨らみ、3カ月連続の負け越しも決まった。

皮肉すぎる幕切れになった。8回に1点を奪ったがまだ1点差。「ホンマやったら…」。最終的に2点差に開いたが、そんなボヤキが聞こえてきそうな痛恨の敗戦だった。長期ロード明けの甲子園でヤクルトに3連戦3連敗。今季最多の借金9に膨れた。金本監督も険しい表情で「『たられば』が多い試合ですね、今日は…」と嘆くしかなかった。

せめて犠飛を決めていれば…。阪神ベンチがキツネにつままれた空気感になったのは1点を追う5回だ。1死満塁の絶好機。糸原が放った飛球は中堅上空へ。青木が捕る。三塁走者鳥谷がタッチアップ。二塁走者梅野も三塁に向かった。同点犠飛-。誰もがそう思った場面は、しかし、信じられない光景になった。青木からカットマンの遊撃西浦に転送され、さらに三塁へ送球。梅野が宮本にタッチされ、アウトになった。

その直後、白井球審は両腕を広げる。得点は認められない。梅野がアウトになった瞬間、三塁走者鳥谷はまだ生還していなかった…。犠飛は幻になり、手をたたいて得点を確信していた金本監督もあっけにとられるしかない。「俺も1点入ったと思って(走者の走塁を細かく)見てなかった。タッチアップとか信じられないプレーが出るし。俺も見たことないしな、あんなプレー。なかなかちょっとありえんことが起こっているわね」と首をかしげた。

同点に追いついているはずが、終始、窮地に立たされた。ぼうぜんと立ち尽くした鳥谷が「自分は走っているので自分に聞かれても仕方がない」と話せば、果敢に攻めてアウトになった梅野は「自分では行けると思っていた。結果的にアウトになったので、チームの流れを止めてしまった」と猛省。高代三塁コーチは「開いた口がふさがりません」と吐き捨てるように言った。

1点差に詰め寄った8回1死満塁では4番糸井が浅い右飛に倒れた。甲子園の本塁は遠かった。指揮官も「この3試合。あと1本というのは見ての通りです。ゲッツー崩れとか犠牲フライ1本出ていればなというところでそれを打てなかった」と振り返る。8月は11勝13敗で、3カ月連続の負け越しが決まった。2位ヤクルトと5・5ゲーム差に広がり、最下位中日も1・5ゲーム差に迫る。金本阪神3年目で最大の正念場を迎えている。【酒井俊作】

▼阪神がヤクルトに3連戦3連敗。同一カード3連敗は今季5度目だが、いずれも甲子園。甲子園で同一カード3連敗5度は、95年以来2度目。この年はビジターでの同一カード3連敗も4度あり、チームは最下位に沈んでいる。