阪神金本知憲監督が広島新井貴浩内野手の現役引退を惜しんだ。

5日、マツダスタジアムで行われる広島19回戦の試合前練習が行われる前に対応。「もう少しプレーヤーとしてできる体力とか、まだあると思う。ちょっともったいないなというのが本音ですね」と話した。金本監督にとって新井は広島時代に4年間、同僚としてプレーし、阪神の主力として活躍すると、新井も後を追うように08年に阪神へFA移籍。5シーズン、チームメートとして奮闘した。縁の深い選手の引き際に接し「本当に弟みたいな存在」と振り返った。この日の朝、電話で引退する意志を伝えられたという。「引き際はみんなそれぞれ違う。彼なりの決意した引き際だったでしょうね」と話した。

鉄人金本と新井は球界でも名物の師弟関係だった。広島市内のトレーニングクラブ「アスリート」でともに体を鍛え、新井が1軍で活躍する前、練習を休もうとすると叱られ、なかば強制的に練習させられたこともあった。新井も「金本さんがいなかったら、いまの僕はない」と感謝したほどだ。金本が精神修養のため鹿児島最福寺で護摩行を行えば、新井もともに荒行に臨んだ。05年は本塁打王を争い、43本で戴冠。金本が40本塁打を放ち、3本差のハイレベルな戦いだった。阪神で同じユニホームを着ることになった07年12月に「金本さんは僕を弟のように思ってくれている」と言うと「他人と思っている」と切り返されるなど2人の周りには笑いもあふれた。

プロ20年目の決断に触れて、金本監督も「彼はカープで残した数字より、野球に対する姿勢というか、常にベンチで若い選手がやりやすい雰囲気を作ったり、勝ったときの喜び方とか、全力プレーや全力疾走とかをこの歳になっても続けていました。残した数字以上に姿勢がいまのカープを強くしたんじゃないのかなと。そういう貢献度は大いにあると思います」と拍手を送った。