社会人野球の日本選手権東海地区予選が、8日から愛知・岡崎市民球場で開幕する。2年ぶり2度目の日本一を目指すヤマハは、8日の初戦でホンダ鈴鹿と対戦する。7月1日付で就任した室田信正新監督(44)の下、静岡高出身のルーキー水野匡貴投手(22=明大)が、先発の柱となり、本大会出場を目指す。

水野は今春の入部早々から、先発を任されている。マウンドさばき同様に、予選への意気込みを語る口調も冷静だ。

「一番は勝つこと。気持ちで引いたら打たれるので、常に前向きな姿勢で準備していきたいです」

最速148キロを誇る右の本格派。レベルの高い社会人の舞台で、メンタル面でも成長を見せている。「大学で悪い時は考えすぎていました。今はマイナスなことを考えず、目の前の打者に集中しています」。明大時代は投球フォーム、結果などにこだわりすぎて自滅することもあったが、割り切って役割に徹することで、安定した成績を残せるようになったという。

成長のために、アドバイスも積極的に受けている。エースのフェリペ・ナテル(29)からは、トレーニング法、体の使い方、栄養補給まで教わっている。さらに取り組んできた体幹トレーニングの成果で、投球のリリースポイントが安定してきたという。球速自体は変わらないが、「安定して強いボールが行くようになり、あまり自信がなかった真っすぐで、空振りを取れるようになりました」と胸を張った。

今夏、チームは都市対抗出場を2年連続で逃しており、全員が今大会に懸けている。投手出身の室田監督は「水野は大崩れしない投手。試合を作ってくれると思います」。心身ともにたくましくなった水野が、ヤマハの鍵を握る。【鈴木正章】

◆水野匡貴(みずの・まさき)1995年(平7)10月2日、牧之原市生まれ。牧之原小3年から野球を始める。静岡では甲子園出場はないが、3年春にエースで東海大会準優勝。明大では通算7勝2敗。右投げ右打ち。183センチ、85キロ。血液型A。