日本ハム中田翔内野手(29)が、復興を誓う旗手になった。北海道胆振東部地震後初めての本拠地試合となるオリックス20回戦(札幌ドーム)は、4回に勝ち越しのホームを踏み、6回には好守で勝利を引き寄せた。試合前には募金活動や、全選手によるビデオメッセージも上映。主将を務める同内野手は「今日を復興へのプレーボールとすることを誓います」と宣言。道民を勇気づけ、希望を与える再スタートとなった。

厳粛なムードに包まれた試合前。中田が、選手全員を率いて右翼側の大型ビジョンに登場した。節電のため両翼にある大型ビジョンは、右翼側だけが表示されていた。キャプテンとして、力強く宣言した。

「今日を復興へのプレーボールとすることを誓います」

6日未明に発生した北海道胆振東部地震後、札幌ドーム初戦。詰めかけた2万4341人の観衆の前で、希望に満ちた再スタートの1歩を踏み出した。

減灯されたグラウンドで、勝利へ突き進んだ。1点を追う4回1死一塁。バットを折られ、詰まった遊撃へのゴロに、一塁走者の近藤とともに激走した。野選を誘う全力疾走。好機を広げると、この回に鶴岡の決勝打でホームを踏んだ。栗山監督は「どうしても勝ちたかった。前に進むということの意味を感じながら、やってくれている。そういうところで勝ちきったゲーム」と勝因に挙げた。

野球を通して、希望を体現した。震災直後。札幌市内の合宿所などで被災した選手たちは、LINE(ライン)グループを通して安否確認。そろって「生きています」と返信しあった。地震により3試合の中止を経て、札幌ドームに帰ってきた。試合前にはオリックス側の協力も得て、栗山監督や中田らが義援金の募金活動を実施。イニング間には選手、コーチ1人1人がビデオメッセージを通してエールを送った。

中田は6回1死一塁の守備でも、吉田正の痛烈な打球を好捕(一直)し、飛び出した走者にタッチ。ひとりで併殺を完成させた。残り20試合。「北海道を元気にする。それと同じくらいの気持ちで、優勝争いをしている」と覚悟をあらわにした。新たに背負う、北海道民に勇気を与える使命。悲願が増した逆転優勝に向かって、一丸となって歩き出した。【田中彩友美】