球団史上“最高”の満弾が、巨人の苦境をせき止めた。2点リードの7回2死満塁。阿部が、粘り強く二枚腰で難敵を打ち砕いた。中日岩瀬の宝刀スライダーを仕留め、右翼席中段へ9号をぶち込んだ。通算打率1割7分5厘だった左腕から09年4月24日以来の1発で「少しバットの先でしたが、しっかりと押し込むことができた」と5戦連続2点以下だった打線を完全解凍。防御率4点台の救援陣を楽にし、連敗を4で止めた。

記録ラッシュに突き進む。自身10本目のグランドスラムは10年9月11日の広島戦以来、8年ぶり。39歳5カ月での満弾は史上初の3冠王・中島治康(48年)の39歳0カ月を抜き、球団最年長となった。加えて、プロ入りから18年連続2ケタ本塁打に王手。長嶋氏の17年連続を抜いて、球団新記録に迫る。通算400号本塁打までも残り3本。打つ度に記録が持ち上がることに「長くやってりゃ、いろんなことがある」と話す。

チームは試合前練習で異例のシート打撃を敢行。もがく打線を、今季は満塁で8打数5安打15打点と抜群の勝負強さが救った。高橋監督も「良いバッティング」と目を細める活躍で自力CS進出も復活。残り11試合、頼れるベテランが勝利を呼び込み続ける。【島根純】

▼阿部が7回に岩瀬から満塁本塁打を放った。阿部の満塁本塁打は10年9月11日広島戦以来通算10本目。セ・リーグで満塁本塁打を10本以上打ったのは8人目で、巨人では王の15本に次いで2人目。阿部は39歳5カ月で、1リーグ時代の48年7月4日中島の39歳0カ月を抜いて巨人最年長満塁本塁打となった。なお、岩瀬が満塁本塁打を浴びたのは通算998試合目で初めて。