まさかの3連敗を喫し、ソフトバンクの自力優勝の可能性が消滅した。先発のアリエル・ミランダ投手(29)が1回に4失点。この日も初回に突き放された。西武とは6・5ゲーム差に広がり、3位日本ハムには1差に迫られた。工藤公康監督(55)が「143試合終わるまでみんなで必死に戦う」と話すように、残り19試合、連続Vへの可能性がある限り戦い抜く。

敗戦の瞬間、工藤監督は大きな目でグラウンドを見つめたままだった。3連勝をもくろんだ直接対決で、よもやの3連敗。西武の優勝マジック点灯を許した。「一生懸命やった結果なので、どの選手がということではない。この3連戦は西武の方が上だったということ」と、現実を受け入れるしかなかった。

3連戦すべて初回に失点し、主導権を奪えなかった。初戦千賀3失点、2戦目大竹4失点、そしてこの日のミランダもいきなり4点を失った。3試合連続で2桁安打を許すなど山賊打線の勢いを止められず、1度もリードできなかった。

主力選手の相次ぐ故障に襲われた今季を象徴するような3連戦にもなった。初回、無死一塁から投手へのゴロで二塁ベースカバーに入った遊撃手今宮が、右足を必死に伸ばしてベースを踏みにいき、左足太もも裏を痛めた。今宮はその場で途中交代し病院へ直行。初回で打撃も好調な守備の要を欠くことになった。前日16日には4番柳田が試合前に負傷し欠場。この日、脳振とうの特例措置で登録を外れた。想定外の出来事に工藤監督も「そうですね…」と、言葉が出なかった。

柳田は「チームにもファンにも迷惑をかけた。(打球を打った西武)栗山さんにもいらない心配をかけてしまって申し訳ない。まずは(頭部の)不安をなくすこと」と、早期復帰を誓った。今宮は「肉離れじゃなくてよかった」と話したが、都内の病院で検査を受けた結果、左半腱(けん)半膜様筋を損傷している可能性があることが判明。今日18日に再び検査することになり、楽観視できる状況ではない。

内川、デスパイネの主軸が8月中旬に離脱。投手陣は先発左腕和田、守護神サファテ、8回の男岩崎抜きで戦ってきた。だが、エース千賀、救世主的存在だった大竹、ミランダが打ち込まれ、13年4月2~4日以来5年ぶりの西武戦同一カード3連敗。工藤政権では初めてだ。苦しい中でも西武に食らいついてきただけに、ショックは計り知れない。振り返れば、3位日本ハムとは1ゲーム差だ。

首位と6・5差。工藤監督は「また来るので、次はやり返せるように」。一戦必勝で再び差を縮め、27日からの西武3連戦で奇跡を起こすことに照準を定め直した。【石橋隆雄】