今季、何度となく見た光景だった。阪神は1点を追う9回裏。1死二塁と好機こそ作ったが、途中出場のナバーロ、1番糸原が倒れてゲームセット。聖地にため息が充満する中、金本監督は悔しさを押し殺すような表情でベンチ裏へ消えた。敵地で王者カープ3連戦に勝ち越した勢いはどこへやら。これで甲子園4連敗となり、CS圏内が遠のいた。

「う~ん、ここに来るとな…。何回あったんかな、得点圏は。なんかな、ここに来たら変わりますな」

1・5ゲーム差で追う3位巨人との重要な直接対決だった。右太ももを痛めている福留を11試合ぶりにスタメン復帰させ、足に不安を抱える糸井も2試合ぶりに先発。満を持して臨んだ一戦、またも「あと1本」が出なかった。得点圏に走者を置いたイニングは5度。2回2死満塁で9番青柳に結果を求めるのはさすがに酷だが、以降も巨人投手陣に要所を締められた。

3回2死一、二塁、5番大山の強いゴロが一塁正面を突いた。6回1死二塁では5番大山が遊ゴロ、6番陽川は空振り三振に仕留められた。7回は代打鳥谷の同点打でボルテージが最高潮に達する中、なおも2死一、三塁で頼みの3番福留が右腕畠の内角いっぱい直球を見逃し三振。「チャンスは最後も作ったりしたけどね。う~ん…、どうしたもんやろ」。指揮官の悩みは深い。

今季、甲子園では19勝34敗1分け。この54試合でチーム打率は2割4分7厘、総得点は175点。1試合平均で3・24得点と本拠地のアドバンテージを生かせていない。一方、甲子園以外の球場で戦った74試合の打率は2割6分5厘、総得点は369。1試合平均4・99得点をたたき出しており、違いは明らかだ。

3位巨人とのゲーム差が2・5に開き、残すは15試合。そのうち甲子園ゲームが8試合ある。「鬼門」という表現を聖地に使わせるわけにはいかない。逆転CS進出へ、何が何でも負けられない今日24日の巨人戦。圧倒的な地の利を今こそ実感しなければならない。【佐井陽介】

▼阪神は今季甲子園での試合で19勝34敗1分けとなり、借金は15に増えた。これまでの甲子園での借金ワースト2は、<1>78年借金17(19勝36敗3分け)<2>95年借金15(23勝38敗)。今季はこれらに迫る不成績で、最悪を更新する可能性も出てきた。