これが3連覇の生みの苦しみなのか…。広島がM1のまま、2日連続で足踏みした。敗戦から14分後、ヤクルトの勝利を確認した緒方孝市監督(49)は「残念です。今日も決められず。やっている野球は問題ない。しっかり粘り強く戦えている」と悔しがった。

ドラマは8回、午後9時2分にあった。ナゴヤドームでヤクルトが9回に追いついた直後、マツダスタジアムではフランスアがロペスに勝ち越し2ランを浴びた。

2点を追う5回、反撃に転じた。会沢の二塁打から1死三塁とすると、代打新井が登場。今季限りで引退するベテランは声援に後押しされ、粘って8球目を中犠飛とした。エスコバーの156キロに力負けしなかった。「アツ(会沢)が出て、安部が進塁打を打ってくれたので何とかしたかった。内野が下がったので、三振だけはしないようにと集中していた」と後輩の頑張りに応えた。場内の空気を一変させる一打だった。

6回に1点失っても、すぐに反攻。今度は丸だ。4回の右前打で15年の自己最長44試合連続出塁記録に並び、この回は今永の直球を右翼席中段に特大38号ソロ。ライバル筒香が2回に単独トップ38号を放ち、負けじと並んだ。旧市民球場より広くなった09年のマツダスタジアム開場後では球団最多。14年エルドレッドの37本を抜いた。「(打撃は)いい内容と結果だったと思う。また明日も継続していけるようにしたい」。ベース1周すると、歓喜のスタンドとは対照的に、ネクストの松山に今永の球筋を耳打ち。無死一塁から同点三塁打につながった。どんな状況でも冷静さを失わない強さは、打線に落ち着きを与えている。

緒方監督は会見の最後を「あした、勝ちましょう」と締めた。今日26日からはヤクルト3連戦。丸も「明日からははっきりしていて、優勝に向けてより明確になった。また切り替えてやるだけ」と続いた。勝つか引き分けで、悲願の本拠地胴上げが待っている。【大池和幸】