さらば、ポンちゃん。ソフトバンク本多雄一内野手(33)が1日、今季限りでの現役引退を発表した。10、11年と2年連続盗塁王に輝き、通算342盗塁を記録した俊足二塁手も、近年は首の故障などケガが続いていた。今季は開幕スタメンも、出場はわずか32試合だった。引退会見は明日3日に行われる。

本多が熟考の末、ユニホームを脱ぐ決断をした。9月下旬、2軍戦で出番がない日も、試合後に室内練習場でマシンを相手に黙々と打ち込んでいた。「状態はいいですよ。もう呼ばれないでしょうけど…」。置かれた立場を理解しつつも、試合出場への準備だけは続けていた。

2年契約の2年目となるプロ13年目の今季、体脂肪8・6%の「過去最強のボディ」でキャンプインした。競争を勝ち抜き、2番・二塁の開幕スタメンを勝ち取った。

だが、打撃の調子が上がらず、5月28日に出場選手登録を抹消。2軍では三塁、遊撃も守ったが、再び1軍に呼ばれることはなかった。今季は32試合で打率2割4分7厘、1本塁打、8打点にとどまった。

本多は鹿児島実から三菱重工名古屋を経て、05年大学・社会人ドラフト5巡目でソフトバンクに入団。2年目の07年から二塁手のレギュラーを獲得。川崎との二遊間コンビは打線でも1、2番を組み、塁上を駆けめぐった。打率3割5厘をマークした11年にはベストナインに輝いた。ゴールデングラブ賞も11年、12年に獲得。13年には日本代表としてWBCにも出場した。

広い守備範囲を誇った。二塁頭上のライナーに飛びつくプレーは代名詞となった。だが、体への衝撃も強く、慢性的な首痛に苦しみ続けた。今季も「朝起きた時、突然電気が走る」と突然発症し、しばらく離脱した。今春のキャンプ中には「正直、衰えは感じる」と話していた。

地元・福岡出身で人気も絶大。本多は「他球団でプレーしようとも思う」と話していたこともあったが、愛着のあるホークス一筋でユニホームを脱ぐことを選んだ。球団もこれまでの貢献度や選手会長も経験した真面目な性格を評価。来季も何らかの形でソフトバンクに残る予定。目標だった通算350盗塁達成はならずも、足と守りでホークスファンを喜ばせた名プレーヤーだった。【石橋隆雄】

◆本多雄一(ほんだ・ゆういち)1984年(昭59)11月19日生まれ、福岡県出身。鹿児島実-三菱重工名古屋を経て05年大学・社会人ドラフト5巡目でソフトバンク入団。10、11年に連続盗塁王。ベストナイン1度(11年)、ゴールデングラブ賞2度(11、12年)。通算342盗塁は球団歴代3位。174センチ、72キロ。右投げ左打ち。