<パCSファイナルステージ:西武13-5ソフトバンク>◇第2戦◇18日◇メットライフドーム

「昨日は相手の勢いを感じた。それには打ち勝つしかない。打っていけば、うちは乗っていける」。試合前の西武浅村は、自分に言い聞かせるかのように言っていた。言葉通り、打線は11安打13得点と爆発。自身も2回の3ランを含む2安打を決めた。

CSファイナルステージは打率5割と絶好調だが、安打は全て同僚熊代モデルのバットで放っている。この日の第1打席は重さ890グラムの自身のバットだったが、本塁打を打った第2打席から1歳年上の先輩モデルに変更。850グラムと40グラムも軽いが替える理由は「気分なんですよ。それ以外ないっす」。それでも好結果に「熊代さんのおかげです」と感謝を忘れなかった。

一方の持ち主は、どんな気持ちで相棒の活躍を見ているか。このバットは熊代が13年に作ったモデル。長男が生まれた日に自身初のサヨナラ打を決めた年で、思い出深い。「使ってくれるのはありがたいですよ」と言って続けた。「自分の時に働いてくれたらなあ…」。

プロ8年目の熊代の今季は、9打数無安打。バットでは苦戦しているが、勝利を呼び込む声出し係としてポストシーズンもチームを支えている。シーズン中は源田や森も使った打ち出の小づち。短期決戦は、こんなラッキーアイテムが流れを引き込むこともある。【佐竹実】