「SMBC日本シリーズ」が27日に開幕し、ソフトバンクが延長12回4時間38分の激闘の末、2-2の引き分けに持ち込んだ。先発千賀の初回2失点を打線が5回に挽回。5回からは武田、石川、森、加治屋、高橋礼、モイネロの6投手が0のバトンをつないだ。日本シリーズの初戦引き分けは、工藤監督が西武時代にMVPに輝いた86年の西武-広島戦以来球界32年ぶり。工藤ホークス、2年連続日本一へ吉兆だ。

ソフトバンク工藤公康監督(55)の、早めの継投が決まり、12回引き分けに持ち込んだ。「この引き分けは大きい。明日に必ずつながる引き分け」と喜んだ。

初回に2失点も2回から立ち直った千賀をスパッとあきらめ代打デスパイネを送った。追いついた5回からは武田を投入。2イニング目の6回に1死一、三塁のピンチを迎えたが会沢を一飛、安部にはフルカウントから高めにフォークを投げ、空振り三振。武田は「ヨッシャー!」とほえ、グラブをたたいた。「早く行くことを予想していた。最後は気持ちだと思っていた」と感情を表に出した。

7、8回は石川が2イニング無失点。今季チームトップタイ13勝、そのうち6勝を中継ぎで挙げた右腕もきっちり仕事をした。石川は「マウンドがイメージより硬く、傾斜があったのでばらついたが、セットで投げて修正できた」と、慣れない敵地にもすぐ対応した。工藤監督は「第2先発の2人がよく投げてくれた。(第2戦以降の)連投もありえます」と、全幅の信頼を置く。CSでは先発が4枚しかそろわない中でも、武田、石川を先発に戻さず。中継ぎを厚くしたことで、3位日本ハム、1位西武を抑え込んで勝ち上がってきた。下克上の道を歩む中で完成されたパターンとなった。日本シリーズは移動日が2日あることもプラスだ。

第2先発コンビが4イニング投げたことで、9回は森、10回と11回は本来8回を任される加治屋が投げた。12回は高橋礼とモイネロで締めた。延長15回から12回へ今季からルールが変わり「シーズンと同じ。使い切れるのは大きい」と話していた。工藤監督にとっては現役時代の86年に西武で広島と延長14回時間切れ引き分け以来の引き分けとなる。6人のリリーフ陣が「0」を8個並べ、敵地での大きな引き分けをつかんだ。【石橋隆雄】