4番の意地じゃ!! 広島鈴木誠也外野手(24)が「SMBC日本シリーズ」第3戦の6回、シリーズ初本塁打となるソロを右翼席に運んだ。8回にも2打席連発となるソロを左翼へ。安部友裕内野手(29)も満塁弾を含む2発を放ち、9失点ゲームで1点差まで追い上げた。鈴木は好調を維持して、初戦から3戦連続複数安打の大当たり。敗れはしたが、今日31日の第4戦に弾みがついた。

4番が意地を見せた。鈴木はリードを再び2点に広げられた直後の6回に日本シリーズ初本塁打となるソロを右翼席に放り込むと、6点ビハインドとなった8回には左翼席へたたきこんだ。初弾から2打席連続弾。諦めない姿勢をバットで示し、終盤の追い上げにつなげた。

2打席凡退していたソフトバンク先発ミランダとの3度目の対戦で、失投を仕留めた。カウント1-1から高めに浮いた真っすぐを上からたたいた。「点を取られた次の回だったので、何とかしたいという気持ちで打席に入りました。しっかりと振り抜くことが出来ました」。37打席目で初のシリーズ弾となった。

8回は加治屋の代わり端を捉えた。甘く入った真っすぐをとらえ、今度は左翼席へ。「自分のスイングでしっかり捉えることが出来ました。何とか点につながって良かったです」。4番の一振りが球場の流れを変え、この回、安部のグランドスラムも飛び出して1点差に迫った。

一昨年の日本シリーズは打率2割2分2厘、0本塁打、2打点に終わった。だが、今年は快調な滑り出し。広島での2試合、打率5割5分6厘、3打点で、この日は待望の1発が飛び出した。しかも、2打席連発のおまけつき。オンとオフの切り替えが奏功している。日本シリーズに合わせて家族が広島入り。母の手作り料理で舌鼓を打ち、福岡にも家族は同行。前夜は家族で市内の焼き肉店でだんらんのときを過ごした。日本シリーズの重圧を和らげてくれた。

鈴木は3試合連続複数安打、2試合連続複数打点と好調をキープ。この日は、シリーズ前に「停滞した空気を変えられるようにならないといけない。それが4番の仕事」と語っていた言葉通りの打撃で、ソフトバンクを追い詰めた。若き4番が示すように、日本一までの道のりでは反発力が試される。【前原淳】