来季1億円が見えてきた。日本ハム大田泰示外野手(28)が11月30日、札幌市内の球団事務所で契約更改に臨み、2200万円増の6500万円でサインした。プロ10年目の今季は104試合に出場し、打率2割7分4厘、14本塁打、59打点。7月8日ロッテ戦で左手を骨折し、離脱するなど、悔しいシーズンとなった。移籍3年目の来季は「30本は打ちたいので、そこを目指してやっていく」と、アーチ量産で大台突破を目指す。

会見場に入ってくる大田の表情は、晴れやかだった。報道陣から年俸額を問われると「言えません」と照れ笑い。ふたを開けてみれば、2200万円増の6500万円。「1億(円)までいければ自分で胸を張って言いたいですけど、野球選手としてみればまだまだな選手なんで。もっともっと高みを目指して技術を上げていきたい」。プロ10年目の契約更改。喜びはあるが、達成感までは至らなかった。

今季“恐怖の2番打者”としてブレークした。開幕こそ昨季41試合と最多だった7番で迎えたが、4月24日オリックス戦で2番に据えられ、今季の出場104試合中、78試合で任された。

バントなどの小技を使わない「攻撃的2番」が役割だ。7月8日ロッテ戦で左手を骨折するまで、75試合で13本塁打。キャリアハイの昨季15本を上回る勢いで量産した。今季の105安打中、二塁打が22本、三塁打も4本ある。長打率4割6分2厘はチームでは中田の4割6分3厘に次ぐ数字で、4割5分7厘の近藤、4割4分7厘のレアードより上。「(2番で)野球の難しさを痛感しながら、打撃の基礎となるものが出来たと思う」。ケガで離脱は不本意も、収穫を得たシーズンと位置づけている。

会見では自身にプレッシャーをかけるように来季の「目標数値」も公言した。「日本人の右打者で30本を超す打者はそうはいない。その中に自分も名を連ねたい」。今季本塁打王の西武山川や楽天に移籍する浅村ら、リーグを代表する右打者に並びたい。「そういう争いの中に加わっていければ、モチベーションも高くなると思うし、自信にもなると思う。タイトルもとれればいいですね」と続けた。

もちろん、一番大切なのはチームのリーグ優勝、そして日本一。だからこそ、シーズンを通して自身のバットで貢献したい。「元々プロ野球に入ってきた時に、本塁打を期待されて入ってきたと思っている。そこを見失わないように。その数字が30本」。巨人から移籍して、来季で3年目。頼れる男がV奪還へのカギを握る。【山崎純一】(金額はすべて推定)