日産自動車が8日、厚木市内の日産厚木総合グラウンドで野球教室を行った。都市対抗2度の優勝を誇る同社の元野球部員ら6人が、小学生115人とともに約3時間汗を流した。

09年に休部後、地域貢献を目的に、厚木市、伊勢原市の小学4~6年を対象に行われてきた同教室は今年で10年目を迎えた。都市対抗に13度出場(補強選手含む)し主力選手として活躍した「ミスター日産」伊藤祐樹さん(46)はマイクを片手に、アップからキャッチボール、盗塁の仕方などを熱く指導した。「自分ができることで、この子たちが知らないことを伝えてあげるのが仕事かなと思います。大きくなった時に『あー、あの時、あんなおじさんがいたなあ』でもいいから、今日のことを覚えていてくれたら。野球の素晴らしさを伝えていきたいです」と笑った。

同じく、長きにわたって野球部を支えた四之宮洋介さん(41)も、10年間ほとんど野球教室に参加してきた1人だ。「1人で来てくれた子もいました。うれしいですね。野球や地域への恩返しと言ったらおこがましいですが、そのために何かできればと思います」と言った。

少し高度な話でも、参加した野球少年、少女は食い入るように聞き入っていたのが印象的だった。2度目の参加となった5年生男子は「説明がすごく分かりやすい。今まで知らなかったことを教えてくれるから楽しい」と探求心を満たされた様子だった。初参加の5年生男子は「日産自動車の野球部があったことは知っていました。ユニホームがかっこいい。また、見てみたい」と、白地に赤のユニホームを羨望(せんぼう)のまなざしで見ていた。

名門野球部は休部してなお、野球の魅力を伝え、野球を通じて人々と触れ合っていく。