今年はどんな珍プレーに遭遇するだろう。野球にはそんな楽しみもある。広島鈴木誠也外野手(24)が昨年8月9日、中日戦で見せたのもそれだ。四球なのに一塁に進まない。揚げ句が二ゴロ。「一歩も動かず、ゴロッとしてしまって」。休日、自宅でのんびりするお父さんか? 

笠原の投じた8球目。3-2からのボールの判定にだれも反応しない。実は1球前のボールで、3-2だった。それがスコアボードに表示されず2-2のまま次の投球に進んだ。表示ミスに、審判もミス。みすみす見落とした。9球目ファウルで、10球目が二ゴロ。ミスが重なり、さらにミスショットした? 

四球が一転、本塁打になったことがある。87年10月18日の巨人-広島戦だ。巨人吉村禎章は3-2からの7球目、ボールの判定に歩かない。「1球パー(いちきゅっぱー)」。ドコモのCMではない? 直後の1球を左翼席に放り込んだ。この年限りで閉場された後楽園の、最終試合で飛びだした1発だった。

四球が二ゴロになったり本塁打になったり。見る側は思わぬ展開を楽しむが、鈴木は立ち直れなかった。二ゴロのあと3連続三振。「1球痛恨(入魂?)」。この日、神っていなかった。【米谷輝昭】