日本ハムのドラフト1位、吉田輝星投手(17=金足農)が実力の片りんを見せた。9日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で行われた新人合同自主トレ初日に参加。5~7メートルの強い北風が吹く中で行ったキャッチボールでは、体の軸をぶらさず、しっかりとした軌道の球を放った。視察した栗山英樹監督(57)ら首脳陣は素質の高さを絶賛。最高のスタートを切った。

吉田輝がキャッチボールに所信表明を込めた。約7メートルの強風にも体はぶれない。軸の右足でどっしりと立ち、意識したのは「横からの風の向きだったので、球が曲がらないように気をつけた」。右肘の位置が高く前に出るフォームも崩れない。スピンの利いた質の良い直球は強風に負けず、真っすぐに伸びた。

高校日本代表でもキャッチボールでコンビを組んだ柿木に「ジャパンの時よりいいでしょ」と話すなど手応えも十分。注目を集めることが分かっていた新人合同自主トレ初日に、しっかりと合わせてきた。

見守った栗山監督も「体がいい感じで締まってきた。甲子園と同じような状況になっている。体の使い方がうまい、野球がうまいという感じがした」と絶賛した。大フィーバーを巻き起こした昨夏の甲子園以降は一時的に体重が増加したが、キッチリと肉体を引き締めて鎌ケ谷にやってきた。

吉田輝は現在の体重は「甲子園の時より1~2キロ増えた」と80キロ台前半であることを明かし「最近、甲子園での疲れも抜けたので、すごくいい調子が続いている」とアピールに成功。新たな船出となった1日も「同期のメンバーの人たちと、いろいろ出来たんで楽しかったです」と笑顔でエンジョイした。

この日のスタッフ会議で、首脳陣らは例年の高卒新人投手と同様に春季キャンプの2軍スタートの方向性を確認。栗山監督からは2月16日に行われる1、2軍合同の紅白戦(国頭)で実戦デビューできるように通達された。「マウンドに上がったら1年目とか関係ないと思うんで、いつも通りの強気なピッチングをしたい」。続けて「清宮さんと対戦したい」と熱望した。

この日は鎌ケ谷に700人のファンと34社83人の報道陣が集まった。「球場に出る時にファンの方がたくさんいたんで、びっくりしました」と注目度の高さもうれしそうに振り返った。「試合(紅白戦)に向けて体を合わせていくというのと、基本的な体力づくりをしっかりしていきたい」。新たな伝説への第1歩を確かに踏み出した。【山崎純一】