夢を持つ大切さを人に説くことで、自らの大きな夢を再確認した。

ロッテ安田尚憲内野手(19)が10日、JFA(日本サッカー協会)こころのプロジェクト「夢の教室」の一環で、東京・渋谷区立鳩森小学校を訪問。5年生15人を相手に約2時間の「特別授業」を行った。

生徒たちの待つ体育館にユニホーム姿で現れると、体を使ったゲームで一緒になって走り回った。188センチの長身をかがめ、生徒と目線を合わせながら「作戦」を相談しあう姿は、先生というより「良きお兄ちゃん」。ゲームを終えるころには「ヤスさん」と呼ばれ、すっかり子どもたちの心をつかんでいた。

その後はスーツに着替えて教室で授業。「1カ月前から準備した」手書きのパネルで、自らの野球生活の栄光と挫折を振り返りながら、夢に向かって努力する大切さを説いた。

「みなさん大きな夢があると思います。その過程で、小さな目標を積み重ねることが大切。その先に、でっかいゴールがある」

小1から野球を始め、プロを夢見た。「文武両道を目指して」進学した履正社では、勉強量や厳しい練習環境などに苦しみ、体重が10キロ落ちたことも告白。兄や監督の言葉に支えながら奮起し、甲子園に出場。漠然とした「夢」だったプロが、現実的な「目標」に変わっていったという。

現在の夢について「誰もが知っている選手になること。世界で活躍できる選手になりたい」と宣言した安田。緊張の初授業を終えると「今日で自分が目指すべき夢を再確認できました。先生をやって、自分が勉強させられました」。初対面となる記者にも誠実に、目を合わせて応えた。「そのために、1軍定着と新人王を目標にやっていきたい」。子どもたちに夢を語った「ヤスさん」が、大きな夢に向かって歩み始める。【鈴木正章】