若手を引っ張り、若手に負けん! 広島永川勝浩投手(38)が今オフ、3年ぶりに万全の状態で自主トレを続けている。

一昨年オフは左膝に痛みを抱え、昨オフは左膝のクリーニング手術明けだった。「久しぶりにいつも通りのオフ」と下半身強化に重点を置き、キャッチボールも継続する。昨季22試合登板も、通過点。今季は勝ちパターン入りし、5年ぶりの50試合以上登板を目指す。

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額に光る汗が充実のオフの証しだ。ベテラン永川が完全復調に向けて、1歩1歩ペースを上げている。今オフは走り込みやウエートトレーニングなどで下半身を強化。フォームを意識しながらキャッチボールを継続し、投げる強度も上げている。かつて守護神として輝いた右腕はチーム最年長投手となっても「うまくなることしか考えていない」と貪欲に取り組んでいる。

「(シーズン)最初から最後まで突っ走りたい。オープン戦で『こいつまだやれるな』と(首脳陣に)思ってもらうところから。そう思わせないと投げるチャンスはないと思っている」

ポジションを奪う立場となった。一昨年オフは左膝に痛みを抱えた不安がシーズンに影響して1軍登板なし。昨オフは左膝のクリーニング手術明けながら、22試合に登板した。まだ通過点。「勝ち試合で50~60試合投げたい」。5年ぶり大台到達には、若手台頭が目立つ中継ぎ陣の競争を勝ち抜かなければいけない。

昨年12月に38歳となった。加齢による衰えは技術や経験で補いながら総合力を高めている。ともに一時代を築いた「松坂世代」も、現役選手は9人。それでも阪神球児は抑え候補に挙がるなど奮闘を続ける。「彼はいい成績を残して、ボールもいいから当然のことだと思う。負けないようにやりたいし、選手である以上やらないといけない」。このままでは終われない。

最年長として若い投手陣を引っ張る役割も求められる。「チームがいい方向に向かってくれれば」と練習時から声を張り上げ、ときには嫌われ役もいとわない。ただ、結果で示すことが最高のリーダーシップと自負する。「俺なんかが投げるより、若い投手が投げる方がチームとしてはいい。だから『チームが勝つためには投げてもらわないと困る』と思われる能力を見せつけないといけない」。戦う準備だけでなく、勝つための準備を確かな足取りで進めている。【前原淳】