日本ハムのドラフト1位、吉田輝星投手(18=金足農)が底知れぬポテンシャルを見せた。24日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で新人合同自主トレ3度目のブルペン入り。初めて捕手を座らせて21球を投げた。この日の直球は一直線にホップするような理想の軌道とは違い、自然とカットボールのように曲がる「真っスラ」だったため、自己評価は30点。それでも周囲は高評価。まだ試運転状態ながらも、実力の高さを示した。

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吉田輝の伸び上がる「真っスラ」は、独特の球質に起因する。野球データ解析事業を行うネクストベース社で解析の第一人者でもある国学院大の神事努准教授は「もともとシュート成分が少なく、カットボール系の球を投げやすい球質にあります」と説いた。

同社が運営するサイト「ベースボールギークス」によると吉田輝の回転軸角度は68度。この角度が大きくなると純粋なバックスピンに近くなり、球を浮き上げる揚力が発生しやすくなり、球がホップする。ボール変化量(重力の影響のみを受けてボールが到達した地点を原点とした時、回転数と回転軸による揚力の影響を受けてボールがどれだけ変化したか)で横変化は10センチを示す。ほとんどの投手の直球がシュート回転がかかる中でプロ平均は26センチで、吉田輝はかなりシュート成分が少ない。

伸び上がる直球に、シュートしにくい特性の中でスライド回転がかかる「真っスラ」は球界でも珍しい。神事准教授は「真っスラ系の代表として武田翔太投手、森唯斗投手(ソフトバンク)メルセデス投手(巨人)がいます。でも吉田投手のようにホップする真っスラは珍しいと思います」と希少性に同調した。【広重竜太郎】