ソフトバンク工藤公康監督(55)が26日、16年熊本地震、17年九州北部豪雨で被害が大きかった被災地を訪問し、野球少年たちと触れ合った。

福岡から熊本へ移動中には、熊本で震度5弱の地震が起きた。今季は球団九州移転30周年のメモリアルイヤー。工藤監督は、九州へ勇気を与え続ける存在としての責任感を改めて心に刻んだ。

熊本地震で被害が大きかった熊本県西原村へ向かう途中だった。熊本で震度5弱の地震が起きた。発生時、工藤監督は車の中。揺れは感じなかったが、改めて災害はいつ起こるか分からないことを実感した。

予定を変えることなく、西原村へ。18年育成ドラフト1位渡辺陸捕手(18=神村学園)が小学生時代にプレーした西原村学童野球クラブの少年たちと触れ合った。16年の熊本地震発生後、17年1月から3年連続3度目の訪問。工藤監督は「継続していきたいといつも思っている」と、風化させることなく支援活動を続けていきたいと話す。

午前中は、17年九州北部豪雨で被害を受けた福岡の朝倉市立比良松中学を訪れた。学校横の川が氾濫。石橋が壊れるほどの水圧で斜面はえぐられ、プレハブの技術室は崩れ、体育館の基礎部分はむき出しとなった。現場を視察した工藤監督は「現状は(復旧は)なかなか進んでいない。現場に来ないと分からないこともある」と、半分になったままの石橋を見つめながら語った。

現場に行き、子どもたちに元気や笑顔を贈る。この日も比良松中学では、地元の3校から集まった野球部32人全員と対決。工藤監督はユニホーム姿で、マウンドから投げ続けた。その右袖には九州移転30周年を記念する九州をかたどった「WE=KYUSHU」のワッペンが輝いていた。27日には熊本南部地区を初めて訪問する。「九州の力になりたいと、みんな当たり前のように思っている。それを力に頑張っている姿を見せることで(九州の人たちに)また頑張っていこうと思わせられるように」。工藤監督の目は力強かった。【石橋隆雄】