日本ハムのニック・マルティネス投手(28)が、まだ耳慣れない言葉を覚えていた。今キャンプ初のブルペン入りで約30球を投げ終えると、日本語で言った。「レアード、テキ(敵)」。同一リーグのロッテへ移籍した元同僚の「すしボーイ」が、強力なライバルとなることを意識していた。

移籍が決まった後、直接連絡を取ったという。

マルティネス 対戦することが多くなるね。

レアード 絶対にホームランを打ってやるよ。

マルティネス それは絶対させないよ。自分の一番いい球を投げるからね。

お互いの宣戦布告が、別れのあいさつだった。

抑え込む自信はある。「イメージはできている」。レアードを打ち取る組み立ては脳内でシミュレーション済み。「絶対にヒットは打たせない」とさわやかに笑った。

グラウンドを離れれば、気の知れた仲間に変わりはない。「日本でプレーするにあたって、いろいろ気を使って教えてくれた」。感謝し、リスペクトするからこそ「すしボーイに匹敵するようなものをみつけたい」と、何らかのパフォーマンス継承も考えている。「フルシーズンを戦える体づくりをしっかりしたい」。レアード封じの土台を、アリゾナできっちり築く。