【スコッツデール(米アリゾナ州)11日(日本時間12日)=木下大輔、田中彩友美】

台湾の大王がメジャーを唸らせた。日本ハム王柏融(ワン・ボーロン)外野手(25=台湾・ラミゴ)が、韓国・NCとの練習試合の初回に右中間へ二塁打を放ち、対外試合で初安打。調整段階でも卓越した技術とパワーを披露し、視察していたダイヤモンドバックスのスカウトからは、将来的にメジャーでも通用すると太鼓判を押された。

台湾で2年連続4割超えを果たした実力は、半端ない。王柏融は一振りで、実力の一端を示した。初回1死一塁。カウント2-1からの4球目、左腕・具昌模の内角へ沈む123キロの変化球をすくい上げた。打球はアリゾナの青空をめがけグングン伸び、右中間フェンス手前まで運ぶ二塁打。「いい感覚で振り抜けた。この感覚を長く続けられれば」と振り返った。

21歳の具昌模は、17年秋に開催されたアジアプロ野球チャンピオンシップの韓国代表。この日も直球は最速145キロを記録し、初回は王柏融以外の左打者(浅間、近藤、清宮)は三振に打ち取られた。「自分も試行錯誤している中で打った安打。手応えは分からない」と話すが、打つポイントが確立されているから失投を逃さない。

メジャーの目にもとまった。視察したダ軍のスカウトは「どの選手よりもパワーがある。体が力強い」と強烈な印象を受けたという。「将来的にメジャーで通用すると思う。これから注目していきたい」と打撃力の高さにほれ込んだ。王柏融も「機会があるなら」とメジャー挑戦に興味があることは明かしている。新天地・日本ハムでの最初の対外試合で、米球団へもインパクトを残した。

栗山監督もあらためて期待を高くした。「いいバッター。追い込まれた後の変化球に止まって、どのくらい振れるかとか、能力のあるバッターの形をしっかり見せてくれている」と笑顔だ。この日は3打数1安打で5回終了時に途中交代した。王柏融は「課題は、まだまだあります。これからの試合で調整しながら、公式戦になるまで自分の中でいろんなことを試していきたい」。開幕へ向けて、どんな仕上がりを見せるのか。帰国後の打撃からも目が離せない。