ソフトバンクのドラフト1位甲斐野央投手(22=東洋大)が12日、シート打撃に登板し、カイカイバッテリーの女房役甲斐に「フォークボール」のラブレターを送った。

最後5人目の打者として甲斐が打席に立った。直球、スライダーの2球で追い込むと決め球のフォークを投げた。抜けてボールになり、捕手谷川原は4球目にスライダーを要求したが、甲斐野は首を振った。「自分のフォークを甲斐さんに打者目線で見ていただきたかった。落ちたところも決めたところもよかった」と、再びフォークを投げ空振り三振を奪った。

空振りした甲斐は「本当にいいフォーク。決め球で使える」とその威力を認めた。受けていた谷川原も「3、4球投げたけど、最後のフォークだけがよかった」と驚く。甲斐がほめたことを聞いた甲斐野は「しっかり三振に取りましたからね」とニッコリ。甲斐野の思いがこもった1球は、見事に甲斐に届いた。

打者5人に2安打。最速153キロで直球は常時150キロ前後を計測した。先頭の上林には151キロを左越え二塁打。松田宣にはカーブを左前へ運ばれた。「上林さんは打撃投手の時もタイミングを合わされた。どれだけ打球が伸びるんだと思った。打者も本気だったらこんなものじゃないでしょう。心の底から楽しかったけど、まだまだ」と、プロの主力レベルを肌で感じた。

見守った工藤監督は「この時期にあれだけの球を投げてくれたら十分過ぎる」と絶賛。開幕1軍でのカイカイバッテリー実現にまた1歩前進した。【石橋隆雄】