勤勉な「台湾の大王」の努力が、新天地で実を結んでいる。日本ハム王柏融(ワン・ボーロン)が初の対外試合で2打数2安打。新加入後、初めて4番に座り、3回1死二塁では阪神藤浪の146キロ直球を右前打。先頭の5回には、小野の変化球に対応し、左へ二塁打を放った。

いつものように「まだ練習試合」と涼しい顔で言いながらも、実戦4試合で計8打数5安打1打点1本塁打。打率は驚異の6割2分5厘。この日も、試合前ブルペンの藤浪の速球にタイミングを合わせるなど、努力を惜しまない。「国際大会にも出ていて、台湾でも有名な選手。台湾国内で、こんなに速い球を投げる投手はいない」。スイングの強さや選球眼だけでなく、日本球界に適応しようという勤勉な姿勢が才能を支えている。

台湾代表としての顔も持つ。藤浪との対戦は、17年侍ジャパン対台湾選抜との壮行試合以来。今年11月に開催されるプレミア12の1次ラウンドでは侍ジャパンと同組で、視察した稲葉監督は「日本(球界)で活躍して欲しいという思いは当然、あるけど、プレミア12では脅威の打者。あまり対戦したくない」と、キーマンとなる25歳に警戒を強めた。

日に日に存在感を増す背番号99。1次キャンプ地の米アリゾナでは“慣らし運転”だった台湾の三冠王が、2次キャンプ地・沖縄で実力をいかんなく発揮し始めた。【中島宙恵】