恐怖の2番が誕生だ。阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24=大阪ガス)が20日、沖縄・宜野座キャンプのフリー打撃で打撃投手を務めた西勇輝投手(28)から右中間スタンドに豪快な「ライナー弾」を放った。

事前に球種を伝えられていたとはいえ、FA右腕からの1発で長打力を証明。21日の練習試合・広島戦(宜野座)には2番で先発予定で、セ界相手にデビューを飾る。

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宜野座のどよめきが、ため息に変わった。近本が3スイング目で、西の高めストレートを捉えた。右中間の芝生席へのライナー弾。事前に球種を伝えられていたとはいえ、俊足だけではない、巧打だけでもない。ドラフト1位が見せた長打力に、宜野座の阪神ファンは息をのんだ。

大阪ガス時代から打撃には定評があった。戦略の違いで縁はなかったが、ドラフト巧者の日本ハムの大渕スカウト部長が「打席に入る姿に、独特のものがある。打てる状態を作って入っている」と語るなど、他球団にとっても近本の打力は魅力だった。今キャンプでマークを続ける巨人田中スコアラーも「振り負けない強さがある。逆方向に当てる印象でしたが、さすがドラフト1位」と、この日の長打力に目を見張った。

近本は「低めの球の質が全然違いますし。スライダーのコントロールも違うなと思った」と、プロ74勝のFA右腕の球質に驚いていた。その相手、西からの一撃は、セ界デビューを前に弾みになる。

リーグ3連覇の広島を迎える21日の練習試合。近本は2番で起用される。紅白戦2試合の5打数2安打、楽天、日本ハム相手の練習試合の通算6打数2安打1打点を経て、初めてセ・リーグと対戦する。九里、岡田ら1軍ローテーション投手が相手になる。

送り出す矢野監督は「ガンガン打ってくれる2番になっていってくれたらいい。走者置いた近本っていうところを見てみたい。こっちの希望として、そういう状況で見たい気持ちではある」と、走者を背負った近本に期待する。近本も「ゲッツーの確率が少ないと思うので、しっかり打っていって。塁を進めるだけじゃなくてチャンスメークできるようにやっていきたい」と、特打にも励んだ。開幕まで残り約1カ月。ドラフト1位の力が、本気で試される時期に来た。【堀まどか】

▽広島田中スコアラー 実戦向きの選手じゃないのかな。自分の形でしっかり振れているなと思います。

▽DeNA東野スコアラー あそこ(高め)が好きなのかな。そこに(球が)いけば1発があるのかなと思います。

▽阪神浜中打撃コーチ 状態は上がってきている。あとは実戦でいろいろな投手と当たってほしい。