腕を投げ下ろすと同時に、201センチの巨体がマウンドで跳び上がった。

西武廖任磊投手(25)が、ダイナミックに投げた勢いそのまま、文字通り躍動した。21日、地元の台湾・統一との練習試合で4回から登板。「リリースポイントを意識して投げて、あとは体にお任せです」。先頭は150キロの直球で追い込み、116キロのカーブで空を切らせた。2人目はこの試合最速の152キロで3球三振。最後の打者はチェンジアップで仕留め、3者連続空振り三振を決めた。

緩急を使い分けた13球の奪三振ショー。球界最長身タイの体を最大限に生かした。「投げ下ろすイメージ。バレーのスパイクですね。胸を張ってたたきつけるじゃないですか。あれです」。台湾・開南大時代、元阪神郭李のもとで腕を磨いたことが原点。「そこで教わってバレーでたたきつける練習もしました」と異種目で培った感覚だった。

ただ、練習で履くサイズ31センチの野球スパイクはバスケの神様、ジョーダンのマークが刺しゅうされたもの。「靴は全部自腹ですよ。活躍すれば、きっと…」と大型契約を夢に抱く。もちろん、バレーでもバスケでもなく、野球でつかむ。

2軍キャンプではブルペンで打者を立たせて投げ込んだ。「打者がいると狙い過ぎてしまうので、ブルペンから、試合の感じでどれくらい投げられるか練習した」と自ら工夫する。制球難で巨人を2年で自由契約になった評価を覆そうとしている右腕。地元チームを封じ台湾メディアから注目されても「アピールしないといけない立場。何軍だろうが、相手がどこであろうが関係ない」。流ちょうな日本語で、成り上がりを宣言した。【栗田成芳】

◆廖任磊(りゃお・れんれい)1993年8月30日、台湾・桃園市生まれ。桃園市光明青少棒隊に所属し、高校は岡山・共生へ留学。卒業後は帰国し開南大へ進学。14年にメジャー・パイレーツ傘下のルーキーリーグで2年間所属。再び帰国後、16年ドラフトで巨人から7位指名を受けた。トライアウトを経て今季から西武。201センチ、125キロ。右投げ右打ち。背番号50。血液型O。