西武内海哲也投手(36)がデビュー戦で新たな姿を見せ、開幕ローテーション入りが確定した。2日、佐賀で行われた広島とのオープン戦開幕戦に先発。3回1安打無失点無四球のほぼ完璧な内容で、昨季のセ覇者を封じ込めた。2回には巨人時代の盟友、長野久義外野手(34)と真剣勝負。三ゴロに仕留めた。森友哉捕手(23)とのバッテリーで新しく幅を広げた“オールドルーキー”に辻監督もローテ入りを明言した。

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勝利の合図を盟友に送った。内海VS長野の結末は、4球目のスライダーで打ち取った三ゴロ。苦笑いでベンチに戻る赤き5番に向けて、左手人さし指を指してニヤリ。「打ち取ったというジェスチャー。あのスライダーが今日一番よかった」。伏線が効いていた。初球から2球続けて内角攻め。3球目のこの試合最速となる直球139キロでファウルを打たせて追い込むと、懐に食い込む渾身(こんしん)の1球でバットを誘い出した。

巨人からの人的補償という同じ境遇で新天地に渡った2人の対決。自然と注目を集めた。しかも長野の地元でもある佐賀開催。「中途半端な球だとホームランを持ってかれる。メディアのみなさんが喜ぶ展開になる可能性があったので、しっかり投げにいこうと思いました」。試合前練習ではベンチ裏で再会し握手をかわした。「何投げるんですか?」という先制“口”撃も受け流し、がばい旋風は吹かせなかった。

マウンドの後ろには新たな仲間が守っていた。「西武に来たんだなと思いました。鉄壁守備陣がいるんで安心して投げました」。目線の先には新女房役の森のミット。「面白いリードをするなと。違う自分が出せるかなと思った」。2回先頭の4番鈴木。3球続けて内角直球のサインにうなずき、投げ込んだ。同じコースに同じ球種。今までにない配球。フルカウントから右飛に仕留め、新しい活路が見えた。一方で、16年間積み上げてきた自分も忘れない。唯一安打を許した3回1死一塁。3ボールからの変化球のサインに首を振った。「変化球より真っすぐ」を選択。外角低めに納め、併殺に打ち取った。

ほぼ完璧の内容が、開幕ローテ当確ランプを点灯させた。辻監督は「アピールも何も、こっちは最初から(ローテ入りを)予定している」。開幕2カード目のロッテ戦が有力。それでも内海は「まだまだ勝負。続けて頑張ります」。初陣をしっかりと飾り、無風の佐賀を後にした。【栗田成芳】

◆西武の先発ローテ 昨季最多勝で開幕投手に決定している多和田に続き、内海がローテを勝ち取った。高卒3年目の今井も濃厚で、ドラフト1位松本航(22=日体大)この日2軍のヤクルト戦で先発し2回無失点の新外国人ニールも入ってくる。昨季11勝の左腕榎田は左肩違和感のため開幕は不透明。キャンプで結果を出した高橋光が6人目に名乗り出る可能性もある。

▽実戦で初めてバッテリーを組んだ女房役の森が、内海の新しい一面を引き出した。「初めて組んだので、個人的には『続け球』を意識した。同じ球種を同じコースに投げることは、裏をかく意味でバッターに有効的だと感じている。意図的にやった」と、好リードで左腕を支えた。