社会人野球のJR東日本東北(宮城)が、創部100周年で初の日本一に挑む。攻守の中心を担う薗部優也捕手(27=東日本国際大)は「やるしかない!」と意気込み、19年チームスローガンにも掲げた言葉で、4年ぶりの都市対抗出場を第1目標とした。14、15年の自チーム出場だけでなく、補強選手としても出場した豊富な経験を還元し、若手投手陣の成長も導くつもりだ。

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6年目の薗部が、扇の要としてチームを引っ張る。チームは3日まで暖かい静岡でキャンプを張り、薗部は守備練習やブルペンでは大きな声を出しながら盛り上げ、打撃では特打などを率先した。

薗部 都市対抗出場経験者が、少なくなってしまっている。会社や地域の人からも『今年こそ都市対抗、東京ドームに連れていって』と声をかけられるが、若い子たちはピンときていないのかもしれない。実際に経験すると、よりあの舞台に立ちたい気持ちは強くなる。だからこそ、絶対に後輩たちを連れていきたい。会話しやすい環境づくりも意識しています。

昨年まで3年連続で11月の日本選手権には出場も、都市対抗は3年連続で東北大会敗退。1919年創部と歴史も古く、期待も大きい。西村亮監督(44)2年目の今季、過去最高の全国4強を超える成績に挑む。

昨年の都市対抗東北予選ではトヨタ自動車東日本(岩手)戦で3回裏に一挙5失点して大敗。七十七銀行(宮城)戦でも2回裏に9失点し、7投手が17失点でコールド負けと屈辱を味わった。一昨年の日本選手権で史上初の完全試合を達成した左腕・西村祐太(29=桐蔭横浜大)に加え、昨年の日本選手権東北予選以降は新人の右腕・加藤弦(23=富士大)がエース格に躍進。日本選手権2回戦では優勝した三菱重工名古屋(愛知)に1-2と惜敗し、課題も明確になった。

薗部 接戦できた手応えよりも、勝負どころの弱さを痛感した。チームも合宿前に守備とバントをしっかりやろうと徹底しました。投手に関しても、年間通じて波があった。西村さん、加藤に続く3枚目を育てることが一番。2人も含めてですが、粘り強さが必要。

今年は野手より1週間早く、2月12日からバッテリーだけで静岡合宿を行ってきた。例年以上に競争意識や互いの自立心の成長も感じつつある。

薗部 もう後がないってくらいのつもりでやっています。自分としても、キャッチャーは最少失点に抑えて勝ちにつなげて評価されるポジション。守備でチーム、投手陣に頼られる存在でいたい。都市対抗は地域活性化にもつながる。高校生がセンバツと夏の甲子園への意識が違うように、やはり都市対抗ですね。

チームは現在、関東遠征でオープン戦を積む。今年の都市対抗は出場数が4増の36チームとなり、東北枠も1増の3つ。06年のTDK(秋田)以来となる東北勢優勝に向け、堅固なレールを敷く。【鎌田直秀】

◆薗部優也(そのべ・ゆうや)1992年(平4)1月4日生まれ、福島・いわき市出身。藤間中時代はいわきボーイズに所属し、東北(宮城)で2年春、3年夏に甲子園出場。東日本国際大(南東北・福島)では2年春から正捕手となり、同秋から3季連続首位打者。4年春にはMVPも獲得。JR東日本東北でも1年目からレギュラー。右投げ右打ち。174センチ、80キロ。趣味はゴルフ、テニス。血液型A。