遊撃レギュラーを狙う阪神ドラフト3位木浪聖也内野手(24=ホンダ)が甲子園の洗礼を浴びた。

人生初の本拠地での遊撃守備は試練の連続だった。歯車が狂ったのは7回だ。外崎のゴロにチャージしたが、つんのめって捕球。ショート初失策を犯した。1死一、二塁で今度は呉念庭の打球が一塁正面へ。併殺を狙い、大山は二塁転送も、送球が走者と重なり、木浪の捕球ミスで適時失策になった。

オープン戦の打撃好調が光っていたが、この日は守備で苦戦。「まだ慣れていない部分がある。それを分かって守らないといけないです。技術不足というか、準備が足りなかった」と猛省した。8回も秋山の打球を捕れず、痛恨の3失策。それでも、矢野監督は「どんどん、いまのうちにミスをすればいいんじゃない。ここを本拠地にするわけだから」とフォローした。

指揮官はあくまで本番を見据える。この日は雨上がりで白い砂もまかれ、黒土は“重馬場”の状態だ。足場が悪いなかでの失敗。「俺らは、グラウンド状況も、風もある、この甲子園でやる。人工芝のグラウンドでやるより、もっと難しさが出てくる。逆に、こういうグラウンドでやれたことはプラス。別に下がったミスとか、消極的なミスとかではない」と前向きにとらえた。

それでも、打撃で存在感を示した。3回1死一塁。バットを折られながら右前に運び、先制のお膳立て。左腕を苦にしない姿は頼もしい。2戦連続の1番先発。「任された打席で一生懸命やるだけです」。開幕スタメンに向けて貴重な経験になった。【酒井俊作】