西武山川穂高内野手(27)が、開幕バージョンで臨む。29日のソフトバンク戦に向け、敵地ヤフオクドームで前日練習を行った。全打席本塁打狙いのポリシーを1試合だけしまい込み、開幕限定でヒット狙いを宣言した。今季から採用する本塁打後の新パフォーマンス「どすこいポーズ」よりも、あえてヒットを打ちにいく。昨季は本塁打王&MVPに輝いた東の横綱は、地に足つけて初陣を迎える。

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山川はリミッターをあえてつけたまま、開幕の打席に向かう。前日練習では、フリー打撃で左方向に柵越え9本。昨季47発で獲得した本塁打王の称号にふさわしいアーチを描いた。でも胸の内は違う。「明日は普通じゃない。冷静に向かうことができない。熱くなったり、緊張もする。まずはヒット1本。ヒットを打たないと、個人的には開幕しない。必死にとりにいく」。ヒット狙いを宣言した。

東の横綱が通常抱くポリシーは、分かりやすいほどシンプルだ。「基本はホームラン狙いですよ。そのミスがヒット」。全打席本塁打狙い。そうやって本塁打王まで駆け上がった。今季も変わらないが開幕戦だけは、別だ。「去年の方がきつかった。でも開幕で1本ヒット打ったら翌日3安打1本塁打。だからヒット打たないと始まらない」。横綱が前みつを取りにいくように、きっかけをつかむための1本をまずは狙う。

対する千賀とは相性が決して悪くない。昨季打率3割3分3厘4本塁打と当たっている。相手の4番柳田より本塁打も多い。でも「去年のデータは参考にならない。明日は高校野球みたいになると思う。計算がたたない戦い。千賀投手だけど、相手どうこうというよりは、個人的にはヒット1本」と思考を徹底。すべては翌日から爆発し、公言する50発に到達するためだ。

試合前には、歌手のゆずが来場し会場を温める。「緊張するのはゆずが歌っているくらいからですかね。ウズウズしていますよ」。待ちわびたシーズンがいよいよ始まる。【栗田成芳】