本音は02年の開幕ダッシュ! 阪神矢野燿大監督(50)が開幕前日の28日、京セラドーム大阪でヤクルト戦に備えた最終調整を見届けた。開幕戦では宣言通り1番木浪、2番近本のルーキーコンビ起用。発展途上のチームに失敗を恐れず、「楽しめ」と号令を出した。開幕7連勝を飾った02年を思い出しつつ、前向きな姿勢で14年ぶりの頂点を目指す。

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シーズンがいよいよ幕を開ける。開幕前日の全体練習を見守った矢野監督は穏やかな表情で信念を語った。「プロで楽しむの、って究極やと思う」。日頃からそう話す指揮官らしい決意表明だ。

矢野監督 もう、ここまで来たんで(気持ちも)高まっているしね。選手たちにも、どうせなら楽しんでやろうと。何も始まってないし、今からやるんだから。楽しんでやりたいなと。

矢野タイガースの象徴とも言えるのが1番木浪、2番近本のルーキーコンビだ。2リーグ分立後では球界初となる新人の開幕戦1、2番スタメンとなる。キャンプ前には誰も予想しなかった開幕オーダー。指揮官は胸を高鳴らせるルーキーたちの背中も押す。

矢野監督 俺はある意味、開幕出られたら最高やん(と思う)。ルーキーでさ。それがヒット3本打ってヒーローになろうが、逆に悪い方向に結果がうまく出なかったとしても。

開幕ダッシュというキーワードであの快進撃が頭に浮かんだ。「本心言えば、絶対開幕ダッシュしたい。あれ何年やったっけ…。2002年か。開幕7連勝かなんかして、興奮して寝られへんわみたいな」。星野監督就任1年目に最高のスタートを切り、お祭り騒ぎになった。「そらしたいよな。出来るもんなら」。ただ、山あり谷ありの長いシーズン。不動心で臨む覚悟だ。

矢野監督 最終的に1番になることがオレらの目標。ずっと言ってるように勝つだけでは足らんと思う。やっぱりファンの人を喜ばせたい。選手のそういう姿を見せたなかで、何か感じ取れるように、あふれ出るような、そういうものがオレらのやりたい野球だと思う。

信念は揺るがない。躍動し、感情を爆発させるような姿を虎ファンに見せる。まずは、昨季1試合で7回4安打無得点と抑え込まれたヤクルト小川攻略からシーズンがスタートする。さあ、出陣だ。矢野阪神が大海原に乗り出す。【桝井聡】

◆阪神02年の開幕ダッシュ 星野仙一監督を中日から迎え、ムーア、片岡、アリアスらを獲得してのシーズンは、巨人との2連戦で始まった。3月30日の開幕戦は初の開幕投手となった井川が完投勝利を挙げ、第2戦は先発ムーアはじめ6投手の継投で連勝発進。余勢を駆って4月2日からの横浜3連戦(現DeNA)に3連勝と勢いは止まらない。同5日からのヤクルト3連戦も○○の後、7日の第3戦でようやく敗れ連勝は7で止まった。この7試合で矢野監督は捕手としてフル出場し、打率4割3分3厘と大当たり。守ってはチーム防御率0・97と、巧みなリードで好スタートの立役者となった。

<阪神の開幕1軍メンバー>

◆新戦力は3人 ジョンソン、木浪、近本の3人。広島、日本ハムと並び今季12球団最多。

◆新人野手2人は18年ぶり 木浪、近本と新人野手2人。01年の沖原佳典、赤星憲広以来、18年ぶり。

◆投手9人 昨年の10人から1人減。投手の登録が10人未満は、07年9人以来12年ぶり。