執念の白星だった。同点の8回。1死満塁のチャンスで代打に送られたのは阿部。プロ入り初の開幕スタメンを決めながら3月31日のDeNA戦(横浜)から控えに甘んじていた。

フランスアの最速154キロの直球とチェンジアップにも耐えて粘り、カウント3-2からの9球目。直球にバットを折られながらも中前へはじき返した。3万2475人の歓声が阿部に結果を伝えてくれた。

「秋からしっかり振ることをやってきた。しっかり振れて良かった。(折れた)バットのおかげです」と阿部。就任後、与田監督は「バットをしっかり振る」ことを何度も口にしてきた。その意味をヒーローは、今季初のお立ち台でかみしめた。

総力戦だった。先発大野雄が7回4失点と粘投。8回2死三塁で登板した祖父江は鈴木を空振り三振に打ち取り、最後は守護神鈴木博が締めた。2試合連続でスタメンの京田も奮闘。6回にバティスタのショート後方への飛球を好捕し、併殺を完成。7回には貴重な同点打も放った。

チームにとっては3年ぶりの本拠地開幕戦の白星。与田監督の声はかれていた。「準備してきた選手を出来るだけ使う。(阿部は)自信をつけてほしい。選手たちが応えてくれた」。これで勝率5割に復帰。3日は3年ぶりの貯金を狙う。【伊東大介】