ソフトバンクは千賀の9回3失点熱投も実らず、延長戦で敗れ、南海時代の55年以来64年ぶりの開幕7戦負けなしとはいかなかった。12球団で唯一、敗戦がなかったが今季初黒星で、ダイエー時代の02年以来17年ぶりだった開幕6連勝も逃した。それでも、工藤監督は「しっかり切り替えて、また明日という気持ちでやっていきたい」と前を向いた。エースを目指す男の気迫が伝わる一戦だった。

千賀は4回に中村奨にこの日2発目のアーチを浴びるなど、序盤のリードを守りきれなかった。だが、中盤以降は粘りの投球。球数が110球を超えていた同点の9回もマウンドに上がった。1死二塁と走者を背負いながら、藤岡、代打井上を連続三振。延長に持ち込んだ。延長10回に2番手のルーキー奥村が打たれての敗戦。だが、2度目の登板で今季初勝利を逃した千賀は「2点目、3点目は絶対に防がなければいけなかった。9イニング投げる事ができたのは良かったけど、もう少し何とかできた」と責任を背負った。

工藤監督は「粘り強く、自分で長い回を投げようというところがあった」と右腕の成長を認めた。勝てなかったが、心意気を見せた129球だった。【山本大地】