ピンチでも、心は平静だった。日本ハム有原航平投手(26)が、7回1失点で今季2勝目をマークした。

4回まで1安打の快投で、今季初戦の3回から17イニング連続無失点を記録。「昨日、一昨日と、良い流れが出来ていたので、途切れないように必死で投げました」。5回1死から、ロッテ鈴木に右越えの先制ソロを浴びて、今季初の自責点も、安定感のある投球に栗山監督は「よく粘ってくれた」と最敬礼した。

ストライク先行で、隙のない投球が今季は続く。開幕から3試合で22回を投げて、四死球は3つだけ。狙い通りに球を操れていることはもちろん「去年より冷静に、じっくり時間をおいて、相手を見て投げられている」と、好調の要因を自己分析する。力みなく、ピンチになっても自分のペースを崩さない。「1点で粘っていればチャンスがあると思って、ゴロを打たせるよう心がけた」。5回、被弾直後に四球を与えたが、続く打者をカットボールで二ゴロ併殺に打ち取った。

ベンチで見せる笑顔が、心の余裕を表している。隣には、いつもベテラン田中賢の姿が。「打者目線での考えを教えてくれるので、すごく助かっています。いろいろな選手が、試合中に『テンポが一緒になっているぞ』とかアドバイスをくれるので、参考になる」。支えてくれる仲間の存在に、感謝しきりだ。

防御率0・41は、堂々の12球団トップ。「悪い時でも7、8回投げられるよう続けていきたい」。その言葉に、エース格としての自覚がにじんだ。【中島宙恵】