楽天のドラフト3位ルーキー引地秀一郎投手(18)が、公式戦デビューを果たした。日本ハム戦に初登板初先発し、2回2安打2四球と走者を背負いながら、倉敷商(岡山)の大先輩、星野仙一元監督ばりの度胸満点の投球で、無失点で切り抜けた。

また、すでに1軍デビューを果たしている弓削隼人(25)が、2番手で4回無安打と好投を見せるなど、5人の継投で完封勝利を収めた。

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わずか2イニングとはいえ、引地がうわさ通りの強心臓ぶりを見せつけた。高卒新人が迎えたプロ初登板、初先発。1回表、先頭の浅間大基(22)を遊ゴロに仕留めるも、続く姫野優也(22)に四球、石井一成(24)には左前打を許し、1死一、二塁のピンチを迎えた。並の新人なら崩れてしまいそうな場面も、松本剛(25)を三ゴロ、森山恵佑(24)を空振り三振に仕留めてみせた。2回表も同様に1死一、二塁とされながら、無失点で切り抜けた。

ピンチを脱し、堀内謙伍捕手(22)に迎えられると思わず笑みがこぼれたが、試合後は不満顔だった。「全然ダメでした。四球が…。よく粘れたのかもしれませんが、守備にも助けられたんで」。最速149キロにも「全然ですね」と高校時代に151キロを記録しているだけに、全く納得していなかった。

それでも周囲の評価は上々だ。小山伸一郎投手コーチ(40)は「腕が思い切り振れているし、投げっぷりがよかった」。石井貴投手コーチ(47)も「よくストライクが取れていましたよ。変化球でもカウントが取れたし。スピードも申し分ないし、投げっぷりが良かったですね」と、くしくも「投げっぷり」に言及した。とはいえ発展途上は百も承知で、小山コーチは「一昨年の藤平のように、球数、イニングを慎重に考えて投げさせていきたい」とじっくり育てる予定だ。

入団会見の席で「星野大先輩のように強い気持ちでバッターに向かっていく」と話し、楽天OBでヤンキース田中将大(30)超えの「25連勝」を宣言した。「緊張したか?」の問いには「幼稚園の入園式ぐらい」と笑い飛ばした。度胸満点の18歳は、「もっと簡単に抑えられるようにしたいです」と全く満足することなく、次の登板に目を向けていた。【野上伸悟】