苦しんできた広島田中広輔内野手が、今季初の3連勝をもたらした。4回、1点加え、なお2死満塁の場面で会心の2点打。井納のカーブを引きつけ、執念で中前にはじき返した。これが、23打席ぶりの安打。そして、今季83打席目で初のタイムリー。「気分的にはいいですけど、まだまだなんで」。菊池涼介、バティスタが連続適時打で続き、今季チーム最多、1イニング6点の猛攻になった。

乗れないチーム同様、田中広もがまんを続けてきた。打率が2割を切り、12日DeNA戦では本来の1番から8番に降格した。打順が戻っても調子は戻らない。それでも自分を信じ、ホームゲームはいつものように一番乗りで球場入りしてきた。19日のナイターは午前中にじっくりランニング。翌日のデーゲームだったこの日は、午前8時前に球場入りして入念に準備した。3回の先制左犠飛で今季初打点を挙げており、この日は1安打3打点。ブレない姿勢で壁を破った。

中盤に大きなリードを奪い、今季チーム最多の12安打で圧勝した。2番菊池涼も3安打3打点と暴れ、1、2番の「タナキク」コンビだけで6打点。単独最下位が定位置だったが、これで5位タイとなった。緒方監督は「うちらしいつながりのある攻撃ができたのが大きい」と手応えを口にした。息を吹き返した広島は、ここから上位の背中を追いかける。【村野森】