<東京6大学野球:立大3-2法大>◇第4週第1日◇4日◇神宮

気迫の144球完投勝利だ。立大・田中誠也投手(4年=大阪桐蔭)が強打の法大打線をソロ2発に抑えた。伸びのある直球で押し込み、変化球で打たせて取った。開幕から2カード連続で勝ち点を落としたが、エースの力投で先勝。優勝へ望みをつないだ。

わずか1点リードの9回、田中誠は一番やってはいけないことを、やってしまった。法大先頭の代打舩曳に四球を与えた。「ゴメン、と言うしかなかったです」。マウンドに来た溝口智也監督(51)の「1死二塁になっても、そんなにヒットは出ない。まずワンアウトを取れ」の言葉に腹が据わった。送らせて、まず1死。そこから邪飛2つで勝利した。「粘れました。ベンチも盛り上がっていた。力をもらいました」と頭をかきつつ、感謝した。

立大は17年春の優勝が最後。2年生以下は、その味を知らない。同シーズン3勝を挙げた田中誠は、ミーティングで「食らいついていく必死さが足りない。それが出来れば、もっと粘り強くなれる」とハッパをかける。優勝を知る世代として、後輩たちに強さを伝える責任感からだ。

自らの投球で“粘り”を体現した。4回2死一塁では毛利の痛烈な打球を右内ももに当てながら処理。根っから明るい関西人は「(大事なところを)かすめて、おなかが痛くなりました」と笑い飛ばした。6回にはソロで1点差に詰められ、なお無死一、三塁の大ピンチ。「同点OK」と開き直り、直球で押し込むフライを重ね、後続を断った。

144球を投げ終え「完投しようと、みなぎっていたので大丈夫でした。連勝で勢いをつけたい」。左腕を大きく振る躍動感のあるフォーム。身長173センチのエースが大きく見えた。【古川真弥】