中日大野雄大投手(30)が今季3勝目を608日ぶりの完封で飾った。

切れ味あるスライダーで緩急をつけ、広島打線を散発3安打に抑え、自己最多に並ぶ13三振を奪った。令和ではセ・リーグ完封一番乗りで、チームとしても今季初の完投となった。

カープが誇る中軸を悠々と上回った。シャットアウトが見えた9回。大野雄が自由自在に変化球を操った。バティスタをツーシームで一蹴。鈴木には鋭利なスライダーを見せつけ、最後は145キロのインロー。長野にはこの日最速の149キロを見せてから、ツーシームで締めくくった。奪三振は終盤の3回に8個を集めて、自己最多タイの13個。散発3安打で今季チーム一番乗りの完投勝利をマークした。「変化球でストライクを取れたことで、打者の(狙い球の)選択肢が増え、打ち損じになった」。17年9月6日巨人戦以来の完封をかみしめた。

「大野雄大を攻略するには外角。なので、打者は待っていない」。超のつく本格派らしい自己分析を裏打ちとし、大胆に内角を突いていった。見逃し三振が7個で、3安打はすべて2死から。スタンドから見守る妻美優奈さん(30)、長女優花ちゃん(3)に頼もしい姿を披露した。

2度の開幕投手を務めながら、昨年は新人以来の0勝に終わった。今季は開幕2カード目の本拠地開幕戦を託され初勝利。登板した5試合連続で6回自責3以内のクオリティースタートを決め、防御率は1・85に突入。剥奪されたエースの称号を、自力で引っ張り込んできた。与田監督も会見で久しぶりに柔和な笑顔を見せた。「今日は(試合を)ゆっくり落ち着いて見られた。エースというのは、1人で勝利をもたらす。みんなが助かる」。セ・リーグの令和シャットアウト一番乗り。ふさわしい実力者がゲットした。