首位広島の連勝が11で止まった。3点を追う7回に連打で1点返し、さらに代打長野が同点タイムリーを放ったが、8回に勝ち越されて敗れた。

それでも、ライバル巨人に冷や汗を流させたのは大きな収穫。投、攻、守の充実ぶりを、改めて証明した。最下位が定位置だった開幕直後を経て、チームはどう変わったのか。「進撃の5月」について検証した。

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広島が際どいプレーで決勝点を取られた。8回1死満塁から重信の中飛で、三塁走者岡本がタッチアップ。中堅野間の返球を受けた捕手会沢が体を投げだしてタッチしたが及ばず、生還を許した。リプレー検証でも判定はそのまま。7回に3点差を追いついたが、1点差で敗れた。それでも会沢は「最後まであきらめないカープの野球ができた」と充実感を漂わせた。

開幕直後は最下位に低迷したが、4月17日からの8連勝で持ち直し、5月2日から引き分けをはさんで4連勝、同11日から11連勝。守備が乱れ、投手陣が踏ん張れず、攻撃もつながらなかったかつての姿は見られず、投、攻、守の歯車ががっちりとかみ合っている。

◆投手陣 開幕から大瀬良、床田、野村が3本柱を形成したが、ここに昨季中継ぎだったアドゥワ、復調したジョンソンが加わった。5本柱となったことでローテの谷間がほぼなくなり、いずれの試合も中盤まで試合をつくれるようになった。中継ぎでは左腕レグナルトが、5月24日巨人戦まで19戦連続自責0。20戦目に自責1が記録されたが、中盤以降を引き締め、勝つ確率を高めている。

◆攻撃陣 ベストオーダーを求め毎日のように打順を変更していたが、4月29日からバティスタを3番に固定。5月1日から不振の田中広を下位に下げ、1番に野間を入れた。懸念だった5番には打ってよし、小技もよしの西川を起用。野間、菊池涼、バティスタ、鈴木、西川の上位がほぼ固まった。3、4月のチーム打率はリーグ最悪の2割2分5厘だったが、5月は1位の2割8分4厘。緒方監督は「まだベストじゃない」と話すが、強力クリーンアップを中心に、多彩な攻撃ができるようになった。

◆守備陣 左翼に西川、一塁にバティスタが固定されたことで締まった。開幕当初は不安定だった西川の左翼守備も持ち前のセンスで向上。広瀬外野守備走塁コーチは「高いレベルを要求できるようになった」と話す。バティスタはここまで無失策だ。3、4月のチーム失策数はリーグ最多の25だったが、5月は12に激減。走力、守備力重視の布陣が機能している。

高ヘッドコーチは「だれもあきらめず、今日も3点差を追いついた。きっかけがあればまた、連勝していけると思う」と手応えを語った。広島はまた、走りだす。【村野森】