5月15日に新曲「真人間入門」でメジャー再デビューを果たした野球好き歌手、河野万里奈がプロ野球パ・リーグの5月ベストナインを選出した。

「僭越ながら、個人的に胸に響いたベストナインを選ばせていただきました。軸にした視点は、『その瞬間の輝きが強かった』『ぜひ伝えたい素敵な成績、エピソードがあった』の2つです。各ポジション1人に絞るのがとても難しかったです。より野球を、野球選手さんを、好きになる一助となれたら嬉しいです」(河野万里奈)

野球好き歌手が選んだ5月ベストナイン/セ・リーグ


先発投手=山本由伸(オリックス)

リーグトップの防御率1・38を誇りつつも、相手投手の好投に阻まれて打線援護率は1・45と最下位(5月30日時点)。なかなか報われない山本投手は「消えるdaydream」by河野マリナの歌詞のようだった…。そんな苦しみの中でも好投を維持し続け、5月には2勝を挙げた山本投手。なんて身も心も強いのだろう。ひたすら尊敬。上体が起き気味の猫パンチのような投げ方(河野調べ)から繰り出す、153キロのストレートに148キロのスライダー(!?)。速度がありテンポの良いピッチングは早送り映像のように見える。もっともっと勝てますように!

5月28日のオリックス対ソフトバンク 7回無失点で3勝目を挙げたオリックス山本(撮影・上山淳一)
5月28日のオリックス対ソフトバンク 7回無失点で3勝目を挙げたオリックス山本(撮影・上山淳一)

リリーフ投手=平井克典(西武)

個人的には問答無用のベストナイン。毎日投げている説が浮上する平井投手。実際には50試合中27試合に登板(5月31日時点)。メットライフドームに観戦に行った24日の日本ハム戦、2点リードで迎えた1死満塁のピンチ、平井投手がコールされたとき球場全体が「ホッ」とした声を聞いた気がした。絶大なる信頼、そしてそれに応える見事な火消し。ご本人が「70(登板)は超えます!」と口にされていたとはいえ、心配の声すら挙がるフル回転ぶりを称えたい。せめて毎日ベッドではぐっすり眠れていますように…とささやかに願う野球オタクなのであった。

5月24日の西武対日本ハム 試合後、ファンとハイタッチする平井(撮影・黒川智章)
5月24日の西武対日本ハム 試合後、ファンとハイタッチする平井(撮影・黒川智章)

捕手=森友哉(西武)=2カ月連続

例えば相手投手の立場に立つと、ピンチで4番山川選手を申告敬遠したところで5番に森友哉選手が控えている以上、絶対ただでは終われないぞという絶望を与えるラスボス。5月30日時点で首位打者(打率.341)。捕手で首位打者がそもそも快挙であるし、長打率.541、得点圏打率.417、あああ、もう脳が壊れる、森選手のことを考えると思考回路が壊れそうになる、異次元すぎる。先日石川亮選手と仲良さげにされているのを見て「そういえば同い年か」と気づいたのですが森選手ってまだ23歳なの…10万2300歳くらいに見える…デーモン閣下感がある…すごい…(全力の褒め言葉です)。

5月19日のオリックス対西武 7回表西武1死満塁、右越えに満塁本塁打を放つ森友哉(撮影・上田博志)
5月19日のオリックス対西武 7回表西武1死満塁、右越えに満塁本塁打を放つ森友哉(撮影・上田博志)

一塁手=鈴木大地(ロッテ)

開幕からファースト・セカンド・サード・ショート・DH、そしてレフトでスタメン出場。そのユーティリティーな働きには”器用さ”以上に「どこであろうが試合に出てチームに貢献する!」という”泥臭さ”を感じ、胸を打たれる。5月17日の満塁弾、29日の先制アーチ、30日の今季14度目のマルチ安打。開幕スタメンを逃しても準備を怠らずアジャ(井上選手)を欠いたファーストでチャンスを掴む。それでもあえてアジャに「早く戻って来いよ」と声を掛け「勝負してちゃんと勝ち取りたい」と挑み続ける姿勢には、わたし自身ラストチャンスのつもりで臨む再メジャーデビューに際してどれだけ救われたかわからない。讃えよ大地。不屈の大地。やっぱり大地はロッテの顔なんだ。

5月17日のロッテ対楽天 7回裏ロッテ2死満塁、満塁本塁打を放つ鈴木(撮影・中島郁夫)
5月17日のロッテ対楽天 7回裏ロッテ2死満塁、満塁本塁打を放つ鈴木(撮影・中島郁夫)

二塁手=外崎修汰(西武)

5月24日本ハム戦では単打を残したサイクルヒット王手でヒーローに。守備でも、内野を打ち抜くような強い当たりにも好反応を見せゲッツーを成立させるなど、敵の反撃の目を摘むシーンを何度も見た。29日には地元青森県弘前市で待望の凱旋を果たし、貴重な追加点となる犠牲フライを放ち親孝行記録も更新! 果汁100%の活躍! これは外崎選手に限らないが「ユニホームの脇に穴が開いている」かつ「アンダーシャツがノースリーブ」だと、腕を上げたときに白いお肌がチラ見えして「これは…見ていいのか…?!」とソワソワしてしまうのはわたしだけであろうか。

5月29日の楽天対西武 3回表西武1死二、三塁、中犠飛を放つ外崎(撮影・足立雅史)
5月29日の楽天対西武 3回表西武1死二、三塁、中犠飛を放つ外崎(撮影・足立雅史)

三塁手=レアード(ロッテ)

信じられないペースで寿司を握る(ホームランを打つ)幕張のSushi Boy。現在17本でリーグ2位(5月31日時点)。特筆すべきはホームランのみならず。26日まで今季2度目の10試合連続安打、6試合連続打点。レアード選手のInstagramによると、古巣の本拠地である札幌ドームに遠征するやいなや馴染みと思われる寿司屋にしっかり行っていて、なんだか和んだ。一番のfavoriteはウニらしい。息子さんがまだ生後5カ月なのにしっかりレアード選手に似ていらっしゃってかわいい。この前初めてリンゴを召し上がったらしい。最高!!

ロッテ・レアードのすしポーズ
ロッテ・レアードのすしポーズ

遊撃手=平沼翔太(日本ハム)

サードを守ることも多いが、ご本人のショートへの意志を応援する意味でこちらに選出。5月4日にプロ初打点は、一時勝ち越しとなる一打。そして16日の楽天戦、ついにプロ初決勝打、初ホームランまであと数センチだった! 25日の西武戦は現地観戦していたが、2死二、三塁、3点ビハインドの場面で迎えた打席、ファンとしてのわたしの心理は「1人でもランナーを帰してくれたら…」だったが、そんな祈りをはるかに超越した走者一掃のタイムリースリーベースを放った平沼選手。その姿は鮮烈に脳裏にこびりついている。彼らはわたしの想像の遥か上空で戦っているのだと思い知った。SNSでご自身の写真をたくさん供給してくださる点もファン孝行で推せる…!

5月16日の楽天対日本ハム 7回表日本ハム1死三塁、右越え適時二塁打を放ち、塁上で笑顔を見せる平沼(撮影・横山健太)
5月16日の楽天対日本ハム 7回表日本ハム1死三塁、右越え適時二塁打を放ち、塁上で笑顔を見せる平沼(撮影・横山健太)

外野手=杉谷拳士(日本ハム)

「スギノール」という一言だけでもはや説明は十分かとは思いますが…! 5月23日楽天戦、2打席連続、かつ両打席でのホームラン。ホームラン後のサイレントトリートメントならぬサイレントサイレント(=最後まで祝われない)があまりにリアルすぎて「大田選手と杉谷選手の不仲説」が浮上するという異常事態に(後日ご本人のInstagramで直々に否定)。個人的にはサイレントを強いられている推し(渡辺諒選手)のかわいらしい姿が見られたのでとても感謝している。内外野ともに守り、両打席で快音を鳴らし、時にミスをしつつも盛り上げてくださるスギノールはチームに不可欠なので引き続きご活躍を祈ります!

5月23日の日本ハム対楽天 6回裏日本ハム2死二塁、杉谷は右越え2点本塁打を放つ(撮影・佐藤翔太)
5月23日の日本ハム対楽天 6回裏日本ハム2死二塁、杉谷は右越え2点本塁打を放つ(撮影・佐藤翔太)
5月23日の日本ハム対楽天 6回裏日本ハム2死二塁、右越え2点本塁打を放った杉谷は相手にしてくれないので自分で鶴岡に抱きつきにいく(撮影・黒川智章)
5月23日の日本ハム対楽天 6回裏日本ハム2死二塁、右越え2点本塁打を放った杉谷は相手にしてくれないので自分で鶴岡に抱きつきにいく(撮影・黒川智章)

外野手=釜元豪(ソフトバンク)

2011年育成ドラフト1位で入団し、15年7月に支配下登録。今年4月6日ロッテ戦で、8年目にしてプロ初スタメン出場。層の厚いソフトバンクだが故障者の穴を埋める形でチャンスをつかみ今では立派な1軍戦力に。5月の月間打率は.281、29日オリックス戦で勝ち越し2点タイムリーヒットを含むプロ初猛打賞。ヒーローインタビューを見たらお顔立ちも綺麗で驚いた。世界一の芸術家が魂を込めて丁寧にデザインしたような美しさ。同じ外野手である周東選手と釜本選手が並ぶと、さながらイケメンアイドルユニットのような写真がSNSに溢れ出す(河野調べ)。

5月29日のオリックス対ソフトバンク ヒーローインタビューを終えファンにあいさつするソフトバンク釜元
5月29日のオリックス対ソフトバンク ヒーローインタビューを終えファンにあいさつするソフトバンク釜元

外野手=中川圭太(オリックス)

高校3年生の時にプロ志望届を提出するも指名漏れの過去を持つ苦労人ルーキー。5月22日ロッテ戦では、2点ビハインドで迎えた9回裏2死一、二塁、ファウルでしぶとく9球粘って四球を選び、続く後藤選手のサヨナラ打を呼び込んだ。なんたる職人芸。チャンスで中川選手に回ってくると、きっと何かしてくれるという期待に胸が騒ぐ。10日楽天戦、プロ初ホームランを含む2打点でヒーローとなった中川選手は、このホームランボールは女手一つで育ててこられたお母様に贈ると語った。わたしは泣いた。最後のPL戦士は、最高の孝行息子さんだ。もっとずっと輝けるように応援したい。

5月10日のオリックス対楽天 5回裏オリックス1死、中川はソロ本塁打を放つ(撮影・渦原淳)
5月10日のオリックス対楽天 5回裏オリックス1死、中川はソロ本塁打を放つ(撮影・渦原淳)

☆迷った枠

辰己涼介(楽天)

「ジャンプアニメの主人公っぽい選手ランキング楽天部門」1位(河野調べ)。忘れられない5月8日、7点差をひっくり返して勝利した最後の一撃は辰己涼介から放たれた。それは彼にとっても人生初のサヨナラ打だそうで、待ち構えるチームメートに雄叫びをあげながら飛びつく辰己選手の写真は圧倒的クライマックスの見開き1ページだった。隠しもしない強気で物怖じ0かと思いきや「打てへんかったらどうしようと思った」と漏らすなど、あえてビッグマウスで自分にプレッシャーをかけている様子が垣間見える。辰己選手×小郷選手のルーキーコンビなら、ひとつなぎの大秘宝にもたどり着けそう。

5月6日、ヒーローインタビューを終えファンの声援に応える楽天辰己(撮影・たえ見朱実)
5月6日、ヒーローインタビューを終えファンの声援に応える楽天辰己(撮影・たえ見朱実)

指名打者=近藤健介(日本ハム)

坂本勇人選手と同様、もはやわたしから近ちゃん選手について語ることはないくらい周知であろう天才的打者。5月29日ロッテ戦では4打数4安打2打点という意味不明の成績(最大級の賛辞)。もし「自由にNPBの選手さんをスカウトして自分のチームを作っていいよ」と言われたら、わたしは真っ先に近ちゃん選手にお声がけさせていただく。わたしが一番好きな近ちゃん選手のチャームポイントは、マウスピース着用も相まって、笑うと「今、笑ってるよ! 今、僕、すごく笑ってるよ!!」と顔全体で訴えかけてくるように見えるところ。かけがえのない癒し。守りたい笑顔。

5月30日の日本ハム対ロッテ 1回裏日本ハム1死二塁、右中間に適時二塁打を放つ近藤(撮影・黒川智章)
5月30日の日本ハム対ロッテ 1回裏日本ハム1死二塁、右中間に適時二塁打を放つ近藤(撮影・黒川智章)

特別枠=田中賢介(日本ハム)

開幕前に今季限りでの引退を表明した田中賢介選手。わたしが小学生の頃、担任の先生が自称賢介選手の恩師だった(真偽不明)。いつもわたしに「賢介はすごいぞ。応援しろよ」と言っていた。そんな賢介選手は5月29日ロッテ戦に代打出場し、8回裏に逆転2ランを放つ。永遠かと思うくらいグングン伸びた。ここまでならまだ我慢できた。ただ、ヒーローインタビューで「前のイニングで杉谷拳士君がミスをしてしまったので(中略)なんとか取り返してあげたいなという気持ちで打席に立ちました」と語る笑顔に、涙腺が崩壊した。ダメだまた泣いてしまう。あと100試合を切った賢介選手との残りの時間を、大切に応援したいと痛感。田中賢介はすごいぞ。

5月29日の日本ハム対ロッテ マスコットキャラクターのポリーと記念撮影に応じる日本ハム田中賢(撮影・佐藤翔太)
5月29日の日本ハム対ロッテ マスコットキャラクターのポリーと記念撮影に応じる日本ハム田中賢(撮影・佐藤翔太)

河野万里奈(かわの・まりな)

5月21日生まれ、福岡県出身の歌手。関西学院大出身。物心がついた頃から、夏休みは兵庫・尼崎市の祖母宅に行き、家族で甲子園球場に通っていた。選手にドはまりした最も古い記憶は、04年の佐野恵太選手(東海大甲府高)。中学時代、多感な時期の女子たちとのコミュニケーションに苦しんでいた時に、鳥谷敬(阪神)の存在を知る。言葉でなく背中で語る姿に救われて以来、「鳥谷様」と呼ぶほどに崇拝。自称「鳥谷チルドレン」。甲子園から応援していた選手が各球団に散っていくため、特定の球団を応援することができない。「NPB箱推し(全体を応援している、の意)」で、現在は週1のペースで各地の球場に足を運んでいる。

2010年、「第4回アニソングランプリ」で応募者総数1万189組の中からグランプリを獲得し、翌年アニメ『Aチャンネル』のOP曲「Morning Arch」でデビュー。作詞作曲、ライブパフォーマンスのインスピレーションは9割野球選手から受けている。SNSの投稿内容の割合は、歌:野球=2:8。とにかく脳内が野球に支配されている。ライブ中のMCでも野球トークを繰り広げるため、共演者や音楽ファンをしばしば困惑させるほど。選手への愛しさ余って勝手に応援歌を作りSNSに投稿しており、昨年は西武ライオンズの山賊打線をテーマにした曲「ライオンズアラート」がややバズって喜んだ。選手の登場曲を担当することが夢の一つ。いつか鳥谷様に、ここまで育ててくださったことのお礼を言うことも夢の一つ。148センチ、右投げ右打ち。

2019年5月15日、テイチクインペリアルレコードよりニューシングル『真人間入門』再メジャーデビュー。同19日にワンマンライブ開催。

5/15リリース「真人間入門」Music Video(https://youtu.be/2dOgrXy3QVo)

野球好き歌手・河野万里奈が熱く語る/シリーズ一覧

河野万里奈
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